愛知県立芸術大学 大学案内2019-2020
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025卒業後の進路 多くの卒業生が美術館や博物館の学芸員となり、また文化財修復の分野で活躍を始めています。また公務員になったり一般企業に就職する学生もいます。大学院へは本学をはじめ、専門に応じて全国の様々な大学院に進学しています。美術館・博物館等への就職愛知県公立大学法人/愛知県美術館/岐阜県立美術館/宮内庁三の丸尚蔵館/瀬戸市美術館/多治見市美濃焼ミュージアム/名古屋ボストン美術館/兵庫県立美術館/宮城県立東北歴史博物館/中日新聞社進学先愛知県立芸術大学大学院博士後期課程/愛知県立芸術大学大学院博士前期課程/大阪大学大学院修士課程/神戸大学大学院修士課程/京都大学大学院修士課程/多摩美術大学大学院修士課程/東京藝術大学大学院修士課程/東京藝術大学大学院博士後期課程/東京大学大学院修士課程/東京大学大学院博士後期課程/名古屋大学大学院修士課程/奈良大学大学院博士後期課程/奈良大学大学院博士前期課程/お茶の水女子大学大学院博士前期課程活躍する卒業生 芸術学では、美術史や現代アート論、そして美学まで、美術に関する幅広い知識を身につけることができます。自分の関心のある分野については、専門的な文献を読み、先生との1対1の指導のなかで研究を深めていきます。しかし芸術学の勉強は、なにも部屋にこもって、文献を相手にだけするものではありません。美術館やギャラリーの作品、そして実際に作品を制作している身近な学生とふれあいながら、美術について広く考えていきました。現在私が美術館の学芸員として仕事をするなかで、この芸術学で学んだことが、とても大事なものになっています。また現在は、近年のアートシーンでも重要な役割を担っているトリエンナーレや芸術祭と呼ばれる展覧会の仕事に携わっています。その中では、グローバルな現代アートの実践、あるいは地域に固有の伝統や記憶、そして東西の美術に関する知見と批評的な視座が必要になっています。望ましい社会とアートのあり方について考察し、新しい価値観を生み出していくために必要となる専門的な技術や知識を培う場所が、ますます求められているように感じます。 「人と美術の出会いを手助けする仕事がしたい」という思いから入学し、大学・大学院では特に日本美術史の「雨景表現」という未開拓の研究テーマを設定してそれを中心に美術の知識を深めてきました。特殊なテーマにも、先生方は興味を尊重し少人数学習による親身な指導で研究の道筋を示してくださいます。ともすれば興味が偏ってしまいそうですが、一方で様々な分野で芸術と向き合う学生さんたちとの交流からは常に新たな経験や視点を得、多角的に美術を見つめることができます。深く知ること、広く見ることを通して学んだ美術の魅力を伝え、今後は学芸員として自身の夢を実現していきたいと思います。塩津 青夏あいちトリエンナーレ実行委員会事務局プロジェクト・マネージャー(学芸担当)2008年 本学芸術学専攻卒業2010年 名古屋大学大学院文学研究科博士前期課程(美学美術史専門)修了 同年4月より愛知県美術館学芸員2017年4月より現職大久保 春野東北歴史博物館学芸員2009年 本学芸術学専攻卒業2011年 本学大学院美術研究科博士前期課程修了(芸術学領域)同年4月より現職 愛知芸大を希望したのは文化財の保存修復に携わりたかったからです。芸術学では座学を中心に修復倫理など基礎を学びました。卒業後、東京藝術大学大学院に進み、修復実習、研究の進め方を学びました。修了後東京文化財研究所で海外の壁画の保存修復に携わりました。また、JICAが行う大エジプト博物館付属の保存修復センターの人材育成に関わることができ、博士論文の技法研究を活かし、彩色専門家として研修を行っています。現在は県芸に戻り、テンペラを教えたり、修復作品の撮影・調査を教えています。このように、学び経験したことが、今の私を形作っているといえます。成田(杉原)朱美東京文化財研究所 文化遺産国際協力センター客員研究員、本学非常勤講師2006年 本学芸術学専攻卒業2012年 東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修復油画研究室博士後期課程修了その後、東京藝術大学大学院専門研究員、東京文化財研究所文化遺産国際協力センター客員研究員を経て現職 愛知芸大の芸術学専攻は、学生の人数が少ないので先生の指導をとても丁寧に受けることができます。また、すぐ近くに実技を専攻する学生が大勢いて、授業以外でも自主的な展覧会企画などで共に活動できるのも魅力です。 私自身は愛知芸大在学中に現代美術の魅力に出会い、また自ら展覧会の企画に関わる内にキュレーター(展覧会の企画をする人)の仕事、展覧会の方法論に興味を持って研究するようになりました。修了後は東京大学大学院で学び、現在は両大学で学んだことを活かして美術館で近現代美術の展覧会企画・運営の仕事をしています。河田亜也子兵庫県立美術館学芸員2007年 本学芸術学専攻卒業2009年 本学大学院美術研究科博士前期課程修了(芸術学領域)2009年 東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論研究室博士後期課程入学2013年より現職松岡 未紗岐阜県美術館学芸員2006年 本学芸術学専攻卒業2010年 東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻修了2012年より現職 芸術学専攻を卒業後、東京藝術大学大学院の保存修復油画研究室へ進学、現在は美術館に勤めています。愛知芸大の芸術学専攻は少人数制で、美学・美術史以外に実技実習や文化財学の授業があるのが特徴です。私は油彩画の技法と保存について興味があったので、主研究領域の担当教員だけでなく油画専攻の先生からも指導していただきました。こうした専攻の枠を超えた、それぞれの研究に応じて専門性の高い指導を個別的に受けることができる環境は、学生にさらなる意欲や興味を引き出させていると思います。

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