秋田県立大学広報誌 イスナ VOL.22
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 かれこれ30年以上前、私にも二十歳の頃がありました。愛媛の高校を卒業し、東北の大学に進学してしばらくたった頃です。念願のバイクを手に入れ、乗り回しておりました。高校までは、移動手段と言えばもっぱら自転車でしたが、バイクを手にしてからは行動半径が一気に広がり、いろいろな土地を巡って、みたこともない自然の風景に感動したり、ご当地のおいしい食べ物などを満喫していました。その中でも、二十歳の頃、友人達といった北海道ツーリングは一生の思い出に残っています。どこまでも一直線の道路、7月でも零度近くまで冷え込む標津の夜、長万部で食べたホッケのうまさ、函館の夜景の美しさ、などなど、初めて体験したことが今でも脳裏に鮮明に浮かび上がります。日本のすばらしさに気付くとともに、それまでの自分の経験のちっぽけさをいやというほど痛感しました。同時に、これからもどんどん新しいことに出会えるんだ、ということにワクワクした貴重な経験でした。 だれでも二十歳の頃は、物理的にも精神的にも一気に世界が広がり、様々な新しいことを急速に経験していく時代です。大きな人生の岐路でもあります。読者の方で、まさに二十歳前後という方は、失敗を恐れずいろんなことにどんどんチャレンジしてください。そして、いろんなことを吸収してください。その後の人生にきっと役立つでしょう。 私事で恐縮ですが、今年、長女が成人式を迎えました。まだまだ一人前とは言えませんが、親としてはとてもうれしいことです。もし読者の方で新成人の方がいらっしゃれば、ぜひ育てていただいた方々に感謝の気持ちや今後の抱負などを伝えてみてください。そして、二十歳の頃の思い出を聞いてみてください。どんな話が聞けるか楽しみですね。 二十歳の時は農学部の学生であった。入学が平成元年であるので、およそ30年前である。真っ先に思い出されるのは、サイクリング部に入り、合宿で日本各地を旅したことである。はじめての合宿は夏の北海道であった。フェリーで小樽に行き、JRで旭川に移動し、そこから道東をめぐった。3年生-2名、2年生-4名、1年生-4名の男10名である。1日100~120kmを走った。平地も多く、楽しかった。食事は自炊であり、使ったコメは「きらら397」であった。購入理由はもっとも安い米だからである。たくさん食べた。特に、印象に残っているのはカネラン峠である。陸別町から阿寒湖への近道として通ったのだが、途中から未舗装であった。上りではタイヤが空転し、下りでは滑り、こけまくった。阿寒湖への到着は夜であった。春夏秋の合宿以外にも、新歓サイクや耐久ラン、他大学との交流会などの行事があった。2年生、3年生となり、あっという間に引退したが、充実し、恵まれた日々であった。その後は、研究である。専門分野には、植物遺伝資源学を選んだ。調査として、色々な所に出掛けられるからだ。昨年は、沖縄県石垣島に行った。自転車に乗ることも、テントでの野営もしなくなったが、合宿と同じ場所を訪れると何か懐かしい気持ちになる。今年は、30周年として北海道に行こうと思う。毎号テーマに沿って、大学に携わる人の“瞬間”をお届けするコラム。本学は平成30年度に開学20年目の「二十歳」を迎えることから、今回は二人の先生に、自身の「二十歳の思い出」を伺いました。システム科学技術学部電子情報システム学科小谷 光司 教授二十歳の頃の小谷教授▶生物資源科学部フィールド教育研究センター保田 謙太郎 准教授瞬間風速10

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