秋田県立大学 大学案内 2020
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OVATION 研究のきっかけは、農業従事者の高齢化、さらにその後継者不足について真剣に考えるようになったことからでした。農業の後継者不足を解決するにあたり、一番の課題は『農業をやりたい』と言って都会から戻ってくる若者がいても、そのノウハウを明確に伝えられないことだと思うのです。熟練の技や経験、知恵に頼りすぎて、明確なノウハウがないばかりか、追い討ちをかけるように農家の高齢化がどんどん進んでいるという現実。それが、後継者の獲得を阻んでいるのではないかと危惧しています。 細かい情報を集めて、それを分析してまとめて…。農業の教育プログラムのようなものを作りたいと考えています。例えば、りんごに虫が付いていたら、農作物にいつもとは違う変化が現れたら…、今までは一度家に帰って解決策を仰がなければいけなかったかもしれません。でもそれをシステム化できれば、現地で画像を撮って送信して、すぐに解決方法が返ってくるようなことも可能になるでしょう。 そしてさらに、ヒトと機械がもっと融合する未来を目指しています。今は、農作業していたら携帯は開けませんよね。それを、何かをしていても勝手に情報を受け取って送れる、そんな未来を現実にしたいと考えています。IoT・AI・SNSの技術を農業に 受け継がれる・盛り上がる未来を創る 情報のプラットフォームを構築することで、消費者と生産者の距離をもっと縮めたいとも思っています。『明日、こんな野菜が欲しい』となったらすぐに予約できて、生産側に連絡が入って、即日発送、翌日にはお届け…というシステムがあれば便利ですよね。それを実現するためには、もっと情報が必要。どの作物がいつ収穫できて量はどのくらいなのか、といったことを調べる必要があります。 そこでまずは、トマトの生育について調査を進めています。トマトの生産量って実はどんぶり勘定で、収穫までの数値的な情報が分かっていないそうなんです。だから、トマトを苗から育てて、その成長過程を調べているんですね。トマトの他にはいちごの調査を予定しています。 並行してネットワークの構築にも挑戦中です。具体的には、大潟キャンパスと本荘キャンパスをネットワークで繋ごうというもの。docomoとかauなどの大手キャリアを使わずに繋げられるLPWAという方法があって、今の段階ではスピードは遅く画像も送れないのですが、平地なら意外と遠いところまで通信できることがわかっています。今は本荘キャンパス周辺を調査中ですが、これからもっと調査を進めていき、大潟から本荘までネットワークを繋げることが目標です。選りすぐりの先鋭技術を集結 専門家たちが創る新しい未来 この取り組みの総称は、「ICTを活用したスマート農業に関する研究」。県立大学の7〜8人の先生方が参加してくれています。私が担当する、ネットワーク関連の研究の他に、熟練技術の抽出や果実の収穫適期、農作業を軽減するためのアシスト技術などについても研究が進められています。各エキスパートの力を融合させた、新しい農業のカタチ。その未来に、ワクワクが止まりません!Akita Prefectural University 20205

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