秋田大学 CAMPUS GUIDE BOOK 2024
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わたしの留学体験レポート28 私が留学を志したきっかけはコロナウイルスだと感じております。私と同じ世代の学生たちは人生の中で大切な若い時間をコロナによって奪われましたが、その分自宅での時間が増えました。その時間が自身と向き合うものとなり「自分の人生に言い訳を作って心の底からやりたかったことを諦めるのはこの先長く生きていく上で恥ずかしい」と感じました。そして自分の置かれた環境で最大限の力を発揮し楽しむべきだと考え、まずは国際課に留学の希望を伝えました。国際課の方は親身になって私の相談を聞いてくださり今でもサポートしていただいているのでとても感謝しております。 留学先をドイツに選択した理由は2つあります。1つ目は10年前に世界一の環境先進都市であるフライベルクに環境政策や都市交通などを勉強しに行ったことがあり、知識を蓄えた上で再度訪れたいと考えたからです。2つ目は秋田大学のモデル校であり、世界有数の資源について学べる大学だからです。 留学先では主にバイオリーチングと呼ばれる微生物を利用して特定の鉱物を抽出する技術を学んでいます。日本の鉱山の大半はすでに廃鉱山となっていますが、坑廃水が半永久的に河川に流出し続けるので中和処理することが求められています。環境に配慮した上でコストを低減させる必要があるのでSDGs 私は、2022年8月から2023年2月までポーランド・クラクフにあるクラクフ経済大学に留学しました。 私が留学を志したのは特に何か大きなきっかけがあったわけではなく、小さな出来事の積み重ねによるものです。子供の頃に行った海外旅行などを通じて留学に対する漠然とした憧れを抱き、高校時代には恩師の留学経験を聞く機会がありました。そのような経験から、大学に入学する前から留学したいと考えていました。学部1年生の夏、授業がきっかけで水資源に興味を持つようになり、そこで水資源を学ぶための留学をしようと決めました。その後、水資源管理につながりを持つ森林資源管理に関心を持つようになり、実際に「トビタテ!留学JAPAN」の11期生として2020年1月からフィンランド、アメリカ、ポーランドを巡る留学を開始しました。ところがコロナの影響で緊急帰国せざるを得ず、留学を中断しました。後半のポーランド留学はその留学を再開した形となっています。 現在、クラクフでは資源管理において重要な資金調達や配分を学ぶためのパブリックファイナンスやポーランドが加盟しているEU連合を深く知るための授業を履修しました。それらに加えて、私自身の修士論文の研究のためTotal Economic Value(総経済的価値)の勉強も進めました。また、よりポーランドにライプツィヒにて友人と雪だるま作りヴァヴェル城でを推進していく大事な技術の一つです。 留学生活で驚いたことは、授業が朝の7:30から始まることです。違う町に住んでいる先生は朝6時に起きて大学に向かうとおっしゃっていました。朝に強い人間にならないといけないと感じさせられます。彼らはやることをやったらあとは個人の自由と考えているのでオンとオフがはっきりしています。金曜日の昼以降は授業がなく週末モードに入るためスーパーは非常に混みます。日本にいた頃の私であれば「〇時までにこれを終わらせよう」と考えるのに対して今は「どうやれば最短で終わるか」とまず考えて、それから行動に移しています。 新しい環境にいくとまったく別の地域出身の方達と関わることとなり、そのことが刺激となって私の夢もコロコロと変わっていきました。現時点での「将来の夢」としては海外の資源開発を行なっているサイトで働くことです。私の所属するコースには、一度鉱山で働いた後に学びに来ている学生もいますが、彼らと資源のことや海外の鉱山などについて話していると大変勉強にもなりますし、とても楽しく感じています。馴染むため初心者向けのポーランド語の授業も履修し、挨拶や自己紹介などポーランド語の基礎を学びました。クラクフに来た際、近所のおじいさんが話かけてくれたことがありましたが、何を言っているのかまったくわかりませんでした。しかし、その授業のおかげか、最近は挨拶に一言、二言加えた会話ができるようになり、とてもうれしく感じています。 留学生活では、様々な場面で日本との違いを見つけることができ、刺激的で充実した生活が送れたと感じます。一番驚いたことはポーランドの年越しです。ポーランドでは、年越しの際に花火を打ち上げることが定番で、実際に今年の年越しもクラクフの町中で花火が打ちあがり、特に年を越す10分前から年を越した10分後までは花火の音が鳴りやまない状況でした。私にとっては、花火と聞いて連想するのは冬ではなく夏だったので、ポーランドの年越しは貴重な体験になりました。 これまでの留学を経験して、現在は将来国際連合や国際機関で働きたいと思っています。道のりは厳しく険しいと思いますが、国際公務員を目指して頑張りたいです。研究室でのバイオリーチング作業の様子クラクフにある聖マリア聖堂の前でフライベルク工科大学(ドイツ)国際資源学研究科 博士前期課程 資源開発環境学専攻1年 岡本 蒼さんクラクフ経済大学(ポーランド)国際資源学研究科 博士前期課程 資源開発環境学専攻2年 氏居 綾香さん

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