岐阜大学 大学案内 2024
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Faculty of Regional Studies地域科学部は、地域の抱える諸問題を解決し、暮らしやすい文化的で平和な“地域”を創生し、次世代へ継承していくという21世紀の私たちに課せられた課題を、創造的に担うことができる人材、自治体や産業界、住民組織などで活躍する地域のプランナー、地域社会のリーダーを育成することを目的とした、国立大学ではユニークな新しい構想による学部です。本学部では、人文、社会、自然の諸科学にわたる総合的で学際的な学習ができるよう、基礎科目や専門科目などのカリキュラムにも工夫を凝らすと共に実際に現場へ出向き、実践的な地域課題に取り組む社会活動演習や地域学実習、4年間の一貫した少人数セミナーを重視するなど、系統的な学習が可能となるような特徴ある教育プランを編成し、実践しています。地域から世界へ発信できる地域づくりを目指し、グローバルな視野を持って地域を科学しましょう。地域政策学科 教授 行政学・地方自治論山本 公徳20流転する権力の姿をつかまえる 私は「行政学」を専攻しています。「行政学」は守備範囲の広い学問ですが、最近特に力を入れて研究しているテーマを二つほど紹介したいと思います。 一つは、20世紀以降にみられる「行政の肥大化」現象に伴い、権力のあり方、とりわけ統治機構に生じている変化を捉えることです。これは、政治学や憲法学とも共通するテーマです。この変化に伴い、現代国家には、立法・行政・司法の三すくみに立脚する伝統的な権力分立の仕組みでは抑制しきれない権力集中の傾向が現れています。「小さな政府」や「地方分権改革」を経た21世紀の今日においても、それは変わっていません。その現状を認識し、今日必要な権力抑制のあり方について考えること―それがここでの問題関心です。 もう一つは、今日的現象である「公」と「私」との境界の揺らぎについて、それが私たちに何をもたらすかを考えてみることです。いわゆる先進諸国の間で福祉国家体制が全盛期を迎えた20世紀後半には、福祉や教育を中心とする行政サービスはもっぱら公的機関によって担われていましたが、今日では大きく様変わりし、「公私協働」、行政サービス提供主体の多元化が当たり前の光景になってきています。それは、一方では「私」の側にいた市民や企業が公共的存在になったということであり、また他方では権力が自在に「私」の領域に浸透できるようになったということでもあります。果たして、この今日的現象は私たちに幸福をもたらすものなのでしょうか? 以上の二つに共通するキーワードは「権力」です。「権力」は時代の変化に伴って、あるいは先だって、その姿を自在に変えてきました。その変化を捉え、権力と上手く付き合っていく方法を見つけること、そういったことを目標に議論を続けています。育成目標地域の創造的発展に貢献できる人材の育成を目指す。地域科学部

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