群馬大学大学院 教育学研究科案内 2018
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14 各領域の概要 ……………………………………………………………………文化・社会コース ……………………………………………………………………… 国語学、国文学及び教育科学の諸研究を基礎に据えた国語科教育学の理論の確立並びに実践の深化を志向する専門的研究を行い、国語科教育を総合的に探求します。 学校教育における国語科の任務である日常の言語習得の問題とともに、過去から現在に至る民族の言語文化の諸相を学び、それを国語科教育に生かす方法と実践の課題を追求します。国語領域修士論文● 「伝統的な言語文化」に親しむための和歌学習 −『万葉集』の物語性を活かした学習の提案−● グループでの話し合いを通した文学的文章の読みの深まりに「反論」が及ぼす影響 −小学校国語科の授業分析をもとに−● 古典和歌への入り口 −歌ことばの教材的可能性−濵田 秀行【国語科教育】河内 昭浩【国語科教育】小林 英樹【国語学】小林 正行【国語学】藤本 宗利【国文学】永由 徳夫【書写・書道】 専任教員の研究・教育の概要国語科の授業実践について研究しています。特に話し合い活動を通して子どもたちが読みを深めていく過程に関心をもっています。研究協力者にお願いして継続的に授業を観察させてもらい、教室談話を分析するスタイルで研究を進めています。授業では、小中学校国語科の実際の授業事例についての議論を通して、国語科における主体的・協働的な授業のあり方について学びます。現在は、国語科教育学の中の「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」並びに「書くこと」領域を中心に研究をしています。また別に、宮沢賢治をはじめ児童文学と国語教育との関連にも強い関心を持っています。授業では、研究の基盤となる国語科学習指導の変遷や諸家の理論について学びます。また特に、漢字・語彙指導について議論を深め、授業実践も行い、国語科教員としての専門性の向上に努めていきます。日本語母語話者は、日本語を使いこなせる日本語の「プロ」です。しかし、その日本語の「プロ」でも、何げなく使っている日本語のしくみを説明することは難しいです(これは、常に吸って吐いてをしている呼吸の「プロ」である私達が呼吸のしくみを上手く説明できないのと同じです)。研究は、漢語サ変動詞を手がかりにして、日本語のしくみを分析しています。授業は、日本語の「プロ」である学生のみなさんと、日本語のしくみを言語学的に考えていくようにしています。日本語の歴史的変遷について研究しています。文法史を専門として、口語資料を主な対象にしています。授業では、口語が反映されたことばが用いられる伝統芸能や、単語の意味の歴史的な変化、文法の歴史的な変化に触れ、いま私たちが用いる日本語が、どのような変遷を経て今の姿になったのか、について理解を深めていきます。「言語は変化するもの」という観点から、「正しい日本語」という考え方に揺さぶりをかけます。枕草子を中心とする平安文学の研究をしています。枕草子の特異性を、和歌や漢詩文との関わりから表現史的に探り、その宮廷文学としての本質を源氏物語や紫式部日記との比較において考察しています。授業では、「古典好き」を育てる古典教育のあり方を追求します。日本および中国の書論・書道史を研究対象としています。日本の書は、古来中国書法をどのように受容し、理論づけたのか、日中相互の書藝術観を探究することは、書道史の再構築につながります。授業では、古典籍の精読を通して思想や歴史を学び、文字文化伝承の重要性を理解するよう、心掛けています。教育現場はもとより、所与の場で、手書き文字の持つぬくもりを伝えていける人材を育成していきたいと考えています。

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