群馬大学大学院 教育学研究科案内 2018
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15群馬大学大学院教育学研究科修士課程 社会科教育の理論を深め、現場での実践にその成果を反映させるため、社会科教育、歴史、地理及び公民の4分野のいずれかを重点的に研究します。また、他分野との有機的な関連の理解と、地域社会の動向に対応することのできる実践的な能力を養成します。社会領域修士論文● セクシャル・マイノリティの尊厳ある生き方が保証される社会へ −ナンシー・フレイザーの「再配分」と「承認」とドゥルシラ・コーネルの「アイデンティティ」の議論をもとに−● 体験教育旅行を核とした交流事業の波及効果 −「みなかみ町体験旅行」を事例に−● 群馬県前橋市における中学校職場体験の現状と課題 −キャリア教育の充実に向けて−● ジェンダーに敏感な視点を養う授業実践—高等学校公民科 −現代における試み− 専任教員の研究・教育の概要藤森健太郎【歴史】 日本史今井 就稔【歴史】 東洋史松沼 美穂【歴史】 西洋史関戸 明子【地理】 人文地理学青山 雅史【地理】 自然地理学斎藤  周【公民】 法律学豊泉 周治【公民】 社会学小谷 英生【公民】 倫理学中尾 敏朗【社会科教育】 社会科教育学宮﨑 沙織【社会科教育】 社会科教育学日本古代の儀礼について研究しています。特に、天皇の即位に関する儀礼を中心に調べており、2000年には『古代天皇の即位儀礼』(吉川弘文館)を上梓しました。最近は、古代から中世にかけて、儀礼を含む社会秩序システムがいかに変化したのかに興味を持っています。大学院では、こうした専門をも踏まえつつ、日本史学の基本的な考えかたや研究方法、専門知識の教育現場での活用を考えます。日中戦争史や中華民国期の経済、日中関係を中心に、中国の近現代史の研究をしています。また、中国の資本家たちの社会的な活動や戦前における日本企業の対中進出についても興味をもっています。好き・嫌いを超えて、中国社会や日中関係、そして東アジア世界を、さまざまな角度からいっしょに考えていきましょう。19世紀末から20世紀初めにかけてのフランスとその植民地との関係を、主に国際関係史の視点から研究しています。最近では第一次世界大戦期にとくに興味をもち、またこの戦争についてフランス語圏カナダの歴史にも関心を広げています。授業では西ヨーロッパ現代史を主として扱い、一次史料を読むことに努めます。あわせて、歴史教育やコメモレーションなどを通して、現代社会における歴史学の役割についても検討します。農山村をフィールドとして、伝統的な環境利用、歴史的景観の分析、地域資源の保全・活用、ツーリズムと地域変容などに関心をもち、調査・研究を行っています。授業では、地域分析のための資料の集め方と図表作成の手法を修得するとともに、フィールドワークをとおして、地域の課題や魅力を捉える力を身につけていきます。地理的な見方・考え方、地理的技能を育て、フィールドに出かける楽しさを共有したいと思います。専門分野は自然地理学で、主に山岳地域の地形や環境変遷に関する研究を行っています。東日本大震災発生以降は、地盤の液状化による被害に関する研究にも取り組んでいます。現地踏査から地理情報システム(GIS)を用いた解析作業まで、さまざまな手法を用いて研究を進めています。授業では、社会科地理分野のなかの自然地理学的テーマを検討対象として、さまざまな地域の生い立ちを自然地理学的観点から検討したいと思います。数ある法領域の中でも労働法が中心的な研究分野です。国際人権法を踏まえながら、ジェンダーに敏感な視点から男女雇用平等の研究を進めています。現在の主な研究テーマは、ワーク・ライフ・バランスの実現を支える法のあり方です。授業では、小中学校社会科の政治分野の学習の中核となる憲法を、主要な検討対象とします。あわせて、ジェンダーと法、法教育ないし主権者教育についても検討します。若者をめぐる諸問題の分析、諸課題の解決に寄与することをめざして、現代日本社会の社会学的研究を行っています。近著として『若者のための社会学』(はるか書房、2010)、『〈私〉をひらく社会学─若者のための社会学入門』(共著、大月書店、2014)。関連して、デンマーク社会についても研究しています。授業では、複雑な現代社会の諸課題のなかで成長する若者への視点を見失わない社会科のあり方について、考えたいと思います。18世紀ドイツの哲学・社会思想史と現代の正義論、徳倫理学やフェミニズムを通じて市民と公共性について研究しています。「公共性」「公平」「平等」などをキーワードとしつつ、大学院ではジュディス・バトラーやナンシー・フレイザー、ドゥルシラ・コーネルといった現代アメリカのフェミニストの議論を丹念に追いつつ、参加者でディスカッションを行うという形式の授業を行っています。主な研究領域は、小中学校の歴史学習です。特に、日本の歴史をアジアの動きの中に位置付けて子ども自身に考察させる学習指導の在り方を、彼我の歴史教科書分析を踏まえ、また解釈や対話を重視する欧米流の歴史学習の手法に着目しながら研究を進めています。授業では、歴史を含む社会的事象を児童生徒がより深く理解するための学習指導の姿を、問いの設定やそれに基づく考察・対話の在り方に着目して検討していきます。小中高の社会科教育及び地理教育のカリキュラム研究を行っています。中でも環境や持続可能性にかかわる問題について興味関心を持ち、アメリカ・カナダなど海外の社会科教育の動向を参考に、これからの社会科教育のあり方について考えています。授業では、“グローカル”な視点を大切に現代社会の諸課題に対して社会科教育はどう対応できるのかを、これまでの社会科教育における議論を参考に検討します。

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