群馬大学大学院 教育学研究科案内 2018
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33群馬大学大学院教育学研究科専門職学位課程 教職大学院2年次の課題解決実習は、各自が1年次に設定した課題研究のテーマを実践していくものです。現職の教員は、1年次は現場を離れての大学院での学びが中心となりますが、2年次は現場に戻って実践に取り組みます。そのため、通常の職務をこなしながら、課題研究を進めていくこととなります。生徒指導や部活指導をしながらの実習は、最初は辛いと感じることもありました。しかし、実践を重ねていくうちに、研究を楽しむことができるようになっている自分がいました。 その理由として、まず、教科指導の専門性の高まりを実感できたことが考えられます。課題解決実習では、10回以上にもわたる巡回指導で、大学院の先生方に直接授業を参観していただきました。授業研究会では、研究者教員の専門的な理論に基づいた指導と、実務家教員の現場での経験に裏付けられた実践的な指導を受けることで、授業改善の具体的な道筋が見えてきました。そして、授業のアイデアが膨らみ、すぐに実践につなげることができました。指導→改善→実践のサイクルを半年以上にわたり繰り返していく中で、教科指導の専門性が高まり、教職大学院のテーマである「理論と実践の融合」に近づくことができたと感じています。 また、生徒の成長を実感できたことが研究の大きな原動力となりました。研究では様々な手法で効果検証を図ります。実践後に全国や群馬県の調査問題に取り組ませたところ、学力向上が課題の勤務校において、平均を大きく上回る成果が見られました。しかし、何より生徒の授業に向かう姿勢や思考力・判断力の向上を肌で感じることができたことは、教師としてこの上ない喜びでありました。 忙しい学校現場の中での研究は大変なものです。しかし、現場の中だからこそ教師が本当に必要な研究ができるのです。年間を通して一つのテーマを研究していく教職大学院の実習は、それを実現してくれる貴重な経験だと思います。先輩からのメッセージ平成26年度入学上田  剛(前橋市教育委員会:児童生徒支援コース) 課題解決実習では、1年次に研究を進めていた自分の研究課題を、実際の学校現場で実践していきます。私は4月から12月まで、学級の指導のお手伝いをしながら、自分の研究を実践させていただきました。 1年目の課題研究では、多くの文献に触れる機会がありますが、児童・生徒の実態など見えない部分が多く、いわば「机上の空論」の状態です。学校現場で、子どもたちと一緒に学習に取り組み、協力校の先生方からもアドバイスをいただくことで、実現可能な形が具体的になっていきます。課題研究担当の大学教員が何度も協力校に訪問してくださり、児童・生徒の実態にあった実践になるように導いてくださいます。さらに週に1回は大学院での指導もあります。理想だけだった自分の授業が実現していく過程は、一筋縄ではいかないこともありますが、それだけに大きな達成感を得られました。 実習中は、担当クラス以外にも、様々な学年の授業も参観させていただくことができました。行事や事務作業のお手伝いもさせていただき、課題研究のみならず、教員として「働く」ことについても大変勉強になりました。 自分の「やりたい」を形にできたこの体験は、教員となった今、私の人生の中で大きな財産となっています。先輩からのメッセージ平成25年度入学小貫 優嘉(前橋市立大胡東小学校:ストレートマスター:児童生徒支援コース) 教職大学院を終えて4年経った今、研修主任2年目の私を支えているのは、本校職員のチーム力と、教職大学院で学んだ2年間の理論と課題解決実習です。特に大きな主任経験のなかった私が、文部科学省英語教育強化地域拠点事業の指定や前橋市タブレットパソコン活用授業実践研究指定を受け、中心となって研修の計画を立てたり、ワールドカフェ・ワークショップ形式の研修方法を積み重ねたりして、なんとか研修を進めてこられたのは、教職大学院の経験あってこそ実現できたと言っても過言ではありません。 そう言い切ることができるのは、なぜなのでしょうか。 私が学校運営コースの一人として取り組んだ課題研究は、「ビジョンを共有することで実現する学校組織の活性化~教師間コミュニケーションで作成する自己申告書の作成・活用を通して~」というものでした。学校運営という内容から、もちろん研究に一人で取り組むことはできず、管理職をはじめ、各学年主任や当時の教務主任・研修主任と相談をし、連絡・調整をしながら進めていきました。課題研究を進める中で、大切な段取りや打ち合わせ、協力体制の作り方や職員への声のかけ方などを学びました。自校の多くの先輩方や後輩たちとコミュニケーションをとることを通して、様々な世代の様々な考え方を学びました。この経験が、今の研修主任としての私を育ててくれたのです。 教職大学院2年目の、勤務と併行して課題解決実習を進める1年間は、決して楽ではありません。しかし、1年目の純粋な学生生活において自校以外の多くの先生方と研究にいそしんだことを糧に必ず乗り越えられる1年です。そして、自校の先生方と今までにない関わりを持つことができる1年でもあります。そんな教職大学院に行く機会を与えてくださった方々に、一緒に学生生活を送った仲間たちに、課題解決実習を支えてくれた自校の先輩方や後輩に、少しでも恩返しのできる自分でありたいという思いが、今自分の活力の礎となっています。先輩からのメッセージ平成25年度入学増田 和子(前橋市立桃木小学校:学校運営コース)

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