群馬大学医学部 入学案内2018
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19 大学院保健学研究科では設置当初より昼夜開講等社会人学生に配慮した教育を実施してきました。その結果、現在、博士前期課程の約6割、後期課程の約8割が主に保健医療機関で働く社会人学生という特徴があります。そこで、これまでの教育を発展させ、さらなる地域活動と教育との一体化を目指した新しい大学院教育プログラム「地域・大学院循環型保健学リーダーの育成」を構築し、平成19年から3年間文部科学省大学院教育改革支援プログラム(大学院GP)の支援を受けました。平成22年度以降も教育プログラムとして継続しています。具体的には、地域の保健医療従事者を社会人学生として受け入れ、所属機関における研究課題を、所属機関と大学との共同で「地域保健学研究プロジェクト」として遂行します。学生はこの課程を通して、研究能力やリーダーとしての能力を体験的に修得し、大学院修了後は「地域保健学リーダー」として、地域保健医療活動の推進や、大学との協働の促進における役割を果たすことが期待されます。 平成28年度までに37名の学生が本プロジェクトの研究遂行者として認定を受け、地域社会で活躍しています。地域活動と教育との一体化を目指した大学院教育プログラム Topic 4地域保健学リーダー 高度化・専門分化が進む医療現場において、質の高い看護ケアを効率よく提供する専門看護師(CNS)の資格認定制度があり、資格をもつ専門看護師が病院などで活躍しています。CNSになるには特定の専門看護分野の実務経験と大学院博士前期課程での学修が必要です。本学では、がん看護・慢性看護・老年看護と母性看護分野の専門看護師を養成する教育課程が認可され、CNSコースとして大学院教育を行っています。さらに、がん看護・老年看護分野は、専門看護師の発展型であるケアとキュアの融合を目指す高度実践専門看護師教育課程(38単位)の教育をしています。CNSコース修了生は日本看護協会による資格認定審査に合格してCNSの資格を得ることができます。平成29年3月までに本学の修了生27名(がん看護19名、老年看護6名、慢性疾患看護3名、母性看護1名)が資格認定審査に合格しました。 新しい治療法や予防法を確立するための科学的根拠は、臨床試験をはじめとした臨床研究から得られます。臨床研究の中核拠点となっている世界の研究医療機関では、臨床研究コーディネーター(CRC)やデータマネージャー(DM)と呼ばれる専門職が活躍して、臨床研究や疫学研究が進められています。質の高い研究を行うには、これら専門職のなかでも高度な知識やスキルを身につけた人材を欠かすことができません。しかし、わが国ではこれらの指導的人材を育てられる教育機関はごくわずかです。群馬大学大学院保健学研究科では、平成13年の大学院設置当初から、臨床研究専門職の指導者養成のための講義や演習を行ってきました。また、実践的な演習を含む「CRC管理者養成コース」を開講しています。コース履修者には、「臨床研究プロフェッショナル(臨プロ)」の称号が与えられます。 平成29年3月までに、9名が修了し、称号が授与されました。専門看護師(Certied Nurse Specialist) 臨床研究コーディネーター(Clinical Research Coordinator) Topic 5大学院における専門職養成プログラム Topic 6国際的保健学研究の推進 現在、保健学科ではグローバルレベルでの最先端研究の推進事業「就労女性疾病予防研究プログラム」が進行しています。保健学科の疫学専門家らが、全国の看護職女性を対象に「日本ナースヘルス研究(JNHS研究)」という大規模就労女性コホート研究を運営し、遺伝的因子や生活保健習慣がどのように疾病発生に影響するかを調べてきました。JNHS研究が参加するInterLACE研究では、グローバルレベルの比較研究を行い論文発表するとともに、国際シンポジウムを企画してJNHS研究の成果を世界に発信しています。「就労女性疾病予防研究プログラム」では、このJNHS研究と、米国ハーバード大学や豪州クイーンズランド大学などの女性コホート研究とグローバルな連携を強化して、遺伝的・環境的因子を調査解析し、就労女性のライフコースに合わせた疾病リスクを抽出して、今までにない先端的な個別化した予防法を提示しようとする新しい試みを行っています。InterLACE研究に参加している国々(上図)と参加研究拠点の校章・シンボル(下図)(InterLACE研究ホームページからhttp://www.interlace.org.au/web/Home.aspx)

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