群馬大学理工学部・大学院理工学府 案内 2018
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分子を引き伸ばして強い繊維やフィルムを作る古くて新しい「カーボン」で地球を守る!ペーパー・クイリンググローブボックスを使った実験 分子の向きを揃えると、同じ材料でも強度が格段に向上します。コンビニ袋の原料である「ポリエチレン」も、極限まで引き伸ばすと、防弾チョッキや釣り糸に使われている「高強度繊維」になります。 このように分子が絡まった状態から引き伸ばすことを「延伸」と言い、当研究室はこの延伸技術に関する独自の知見・テクニックを有しています。実際に、この延伸技術を使って高強度釣り糸が開発され、大手釣り具メーカーから販売されています。 これら繊維分野のみならず、無機材料・電機・医療機器・自動車分野の企業や海外の大学・研究所とも共同研究を行い、リチウムイオン電池膜、燃料電池膜(自動車用)、糖尿病センサー(医療機器)、水質浄化膜(フィルター)、義肢クッション(福祉材料)、食品包装フィルム、タイヤ材料、ロボット材料など、社会に貢献する材料を開発しています。大学院に進学すると、これら共同研究先とのディスカッションに参加することで、実践的・先進的な研究開発を経験できます。 みなさんは「炭」と聞くとどのようなイメージを持つでしょうか?黒い?、汚い?、古い?、いえいえ、「炭」、別名「カーボン」は今も昔もこれからも役に立つ存在です。鉛筆、脱臭剤、燃料以外にも飛行機、車、電池、医療など様々なところで活躍しています。カーボンは、黒鉛やダイヤモンドだけではありません。「フラーレン」、「カーボンナノチューブ」、「グラフェン」などの最先端材料もカーボンです。 私の専門は、目に見えない非常に小さな孔(細孔)が空いたカーボン材料:活性炭です。この活性炭の細孔はナノメートル(10億分の1メートル)のサイズですが、実は電気を蓄える能力があります。私は、この活性炭を電極として組み込んだ蓄電器「キャパシタ」の研究をしています。キャパシタは電池と違い、一瞬で充電できるだけでなく、蓄えた電気エネルギーを一気に取り出すことができます。キャパシタは、今、電気自動車の電源や太陽光や風力発電からの電力を蓄えるシステムとして注目されています。私の目標は、地球や人類を救う新しいキャパシタを新しいカーボン材料で実現することです(写真は研究室で開発したキャパシタ用の新しい活性炭電極です。群馬大のロゴ入りです)。細長く切った紙をくるくる巻いて小さなパーツを作り、組み合わせて季節ごとの花などの立体作品を作っていくクラフトアートです。メッセージカードに貼ったり、額縁に入れて周りの方に差し上げています(写真は「ケーキ」と「バラの花」です)。 特技は、グローブボックスを使った実験です!グローブボックスとは空気に触れると分解してしまう材料を扱うための装置で、内部が不活性なガス(アルゴン)で満たされています。学生時代から使っていますので利用歴25年以上!まだまだ現役の学生には負けません。教授 上原 宏樹 Uehara Hiroki教授 白石 壮志 Shiraishi Soshi  学生のアイデアを大切にして、学術論文や特許、国際会議での発表をサポートしています。これらの経験を生かして、卒業生の多くが企業や公的機関の研究所で、様々な材料の開発に活躍しています。 化学・生物化学科ではエネルギーや医療などに関わる新物質・新材料について幅広く学ぶことができます。我々と一緒に最先端の研究を進めてみませんか?我々は、世の中を科学の力で変えたい!と思っている皆さんを待っています。一言コメント一言コメントヒミツの特技ヒミツの特技Message from Professors教員からのメッセージ当研究室の延伸技術で製造された釣り糸研究室で開発したキャパシタ用の新規な活性炭電極(群大ロゴ入り)実験に使うグローブボックス(空気を遮断してアルゴンガス中で実験できます)

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