群馬大学理工学部・大学院理工学府 案内 2018
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次世代の翼~音速を超えて~水に浮くほど軽い超軽量金属ラジコンヒコーキ料理 「1903年、ライト兄弟による世界初の動力飛行」 わずか100年前の出来事です。いまや、時速1000キロの空の旅は身近なものとなりました。エベレストより高い空を、秒速250メートルで突き進む。外の気温はマイナス50度、気圧は地上の1/3。外に放り出されれば、瞬く間に命を失う極限の世界です。それでも人々は、映画を楽しみながら快適に目的地に到着します。 現在世界では、これをはるかに超える速度で飛行する航空機の開発が進められています。日本でも、宇宙航空研究開発機構(JAXA)において、マッハ5で巡行するジェットエンジンの開発が行われています。飛行速度は従来の航空機の5倍。機体が受ける風圧は25倍(2乗に比例)となり、エンジンから放出されるジェット騒音のエネルギーは数十万倍(8乗に比例)となります。これまでの常識が通用しない、まさに極限の世界です。 私は、学生時代から航空機エンジン研究に取り組んできました。現在は、次世代の超音速エンジンから放出されるジェット騒音を低減するため、JAXAと協働しながら、音波放出メカニズムの解明ならびに低騒音ノズル開発を行っています。 私は水に浮くほど軽い金属に関して研究しています。写真の水に浮いている金属をポーラス金属と言います。ポーラスと言うのは英語でporousと書きます。porousは穴だらけである状態を示す形容詞で、ポーラス金属は金属内部に多数の気孔をもつ金属材料です。ポーラス金属は超軽量であるだけでなく、断熱性、衝撃吸収性、制振性、吸音性のように一般的な緻密金属にはない優れた特性を持ちます。ポーラス金属は自動車の燃費向上のための軽量材料として注目されています。他にも自動車のバンパーなどにポーラス金属を導入すると、衝突時に衝撃エネルギーをポーラス金属が吸収するため、ドライバーにかかる負荷が減り安全性が向上します。未だ高価なためポーラス金属はあまり実用化が進んでいません。私はポーラス金属を安価に作製するためのプロセスを確立するために研究を行っています。素材コストを下げ、加工にかかる消費電力を抑えつつ、短時間で大量に高品質なポーラス金属を製造する方法を確立することは困難ですが、やりごたえがあり、楽しくもあります。 私の仕事は、航空機エンジンの研究です。そして趣味は、ラジコンヒコーキです。自分で作って自分で飛ばす。飛行機の原理のすべてがそこにはあります。ラジコンヒコーキ用エンジンの性能計測も実施しています(仕事で)。 料理が好きです。中学の家庭科の授業で満点をとるために料理を予習したのがきっかけで料理が好きになりました。私が金属に興味を持ったのも講義で学んだ金属の取扱いが料理の素材の取扱いに良く似ていたからです。准教授 荒木 幹也 Araki Mikiya助教 鈴木 良祐    Suzuki Ryosuke あなたの夢は何ですか?私は、パイロットになることが夢でした。大空を自由に飛ぶ。これは、たまらなく魅力的なものです。やがて「なぜ飛行機は飛ぶのか」を知りたいと思うようになり、大学では理工学部に進みました。大学は、あなたの夢をかなえる場所なのです。 本学科では、どんなことが学べるか体験できる「機械の学校」等の高校生向けイベントを実施しています。このようなイベントに積極的に参加して、本学科が自分に合っているか確かめるのも良いと思います。 一言コメント一言コメントヒミツの特技ヒミツの特技水に浮く金属

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