群馬大学理工学部・大学院理工学府 案内 2018
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計算理論・計算モデルを究める人工心臓と登山のバランス感覚折々のことばと鷲田清一先生のコメントキャンプ・登山・ロッククライミング 計算の理論、世界第1号は1930年頃にチャーチ博士によって作られました。その理論はラムダ計算と呼ばれています。その後、多くの研究者により様々な計算の理論やモデルが提案されてきました。今でも生き残っていてキチントした理屈は全てラムダ計算と同じ能力があります。広く使われている関数型プログラミング言語もこの理論によって支えられています。また、この様な理論のおかげで、計算、プログラム、情報システムなどの動作や性質を調べることができます。 これまでの研究において、ラムダ式やプログラムの型(タイプ)を求める問題の計算可能性について明らかにしてきました。例えば、ある条件を満たすプログラムに対して、その型を求めるアルゴリズムは存在しますか?また別の条件を満たすプログラムについてはどうですか?という問題です。最近では、計算結果の一意性や無矛盾性に関する定理についても研究しています。(図:Crossed Point Theorem) さらに、この様な基礎理論は、情報社会を支えているソフトウェアやシステムの信頼性、安全性を保障するためにも様々な場面で活用・応用されています。 重度の心臓疾患患者の救命を目的に、様々の心臓補助装置が使用されはじめています。そのほとんどは左心室補助を目的にしていますが、左心室補助装置を適用した患者の約20%が後に右心室不全を患うという報告がなされています。しかし、両心室を補助・置換可能な人工心臓は臨床的にはまだ存在していないため、開発が求められています。上記の問題に対し、ロータの制御に磁気ベアリングを用いることで、両方のアウトレットからの血流量を自動調整可能な人工心臓を開発しました。ロータの軸方向位置は上部の磁気ベアリングにより制御し、回転は下部のブラシレスDCモータにより制御します。また、中央のロータの上面に右心室用のインペラを配置し、下面に左心室用のインペラを配置しています。そして、ポンプケーシングに右心用・左心用のインレットとアウトレットを備えることで、両心臓を補助または置換することが出来ます。このような実験装置を製作し、現在までに複数回の動物実験に成功しました。 折々のことばと鷲田清一先生のコメントを興味深く読んでいます。その中からエドムント・フッサール(2016・2・19)の一文を引用します。フッサールは少年時代に“ナイフ”を研ぎすぎてダメにしてしまったと回想しています。 キャンプ・登山・ロッククライミングなどを趣味にしています。北アでは白馬・唐松・五竜・鹿島槍・剣・立山・槍・穂高など、南アでは甲斐駒・仙丈・鳳凰三山・北岳に登りました。その他にもたくさん登ってます。准教授 藤田 憲悦 Fujita Ken-etsu准教授 栗田 伸幸   Kurita Nobuyuki 何事もあきらめないで取り組んでいると面白さがわかる様になると思います。特に、“どうしてそうなるのかな?”という理由を突き詰めていくと本質的なことが少し見えてくる気がします。 日頃からバランス感覚を意識してみてください。学内の授業だけでは視野が狭くなってしまうかも。一方、学外の活動(アルバイト・サークル)のみに注力すると中身のない人生になってしまうかもしれません。一言コメント一言コメントヒミツの特技ヒミツの特技開発した全人工心臓の概略図

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