群馬大学理工学部・大学院理工学府 案内 2018
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新薬開発のためのマイクロ人体モデルの開発レーザ光に導かれた大学教員への道料理バイク 口から飲んだ薬は小腸から体内に吸収され、様々な臓器を巡りながら患部に作用しつつ、徐々に排泄されます。そのため、新薬を開発するためには、これらすべての過程を解析する必要があります。従来、そのために動物実験が用いられてきましたが、動物愛護の観点や膨大なコストの問題などから、現在は削減傾向にあります。 我々は、動物実験に代わる実験法として、マイクロ人体モデルの開発をめざしています。手のひらサイズの装置内に髪の毛の太さくらいの管を作り、その中にさまざまな臓器の細胞を培養して人体のモデルを作ります。このモデルの入口から、例えば抗がん剤の候補物質を入れると、まず胃液で消化された後、腸モデルによって吸収され、肝臓モデルを通過することにより代謝されたのち、がん細胞に作用します。このときのがん細胞や臓器の細胞の状態を調べることにより、薬の効果や副作用などを予測することができます。現在、より多くの種類の臓器モデルを組み込んだ、より人体に近いモデルの開発を進めています。 私があまりまじめでない大学生活を送っていた3年生の時、研究室(文系で言うゼミ)を選ぶ必要がありました。多くの研究室を見たときにレーザ光と出会いました。とてもきれいな光だと思いました。この光で何ができるか聞いてみたところ、「流れ」の速度が計測できる、とのことでした。このときの出会いが今の私を研究者ひいては大学教員に導いたのです。 レーザ光を1mm程度の厚さのシート光にし、小さな粒を入れた流れに照射するとその面だけが光って見えます。とても身近にあるのに誰も見たことがないような流れの世界を見ることができるようになります。この作業を流れの可視化といいますが、これによって多くの未知の現象を明らかにすることができます。さらには、光のドップラ効果を用いることで、流れを計測することができる装置を作ることができます(これが写真の光で、私が研究室見学の時に見た光です)。この装置を使うと、直径0.2mm、長さ0.5mm程度のごく小さな領域の流速が計測できるようなります。このように、流れを見たり、精密に測ったりすることが現在の私の主流の研究となっています。 週末は時々料理をします。料理は動物や植物といった生物材料を使った化学実験。実験が上手な人は料理も上手なはず?? 年に何度かバイクに乗って遊んでいます。写真はサーキットにみんなで行ったときに撮ってもらったお気に入りの1枚です。腕前はからっきしで自分より遅い人は見つかりませんが、バイクと装備だけは気合を入れています。准教授 佐藤 記一 Sato Kiichi教授 石間 経章 Ishima Tsuneaki  高校や大学での勉強や研究は将来必ず役に立ちます。全力で取り組んで、自分の本当に好きなこと、やりたいことを見つけて下さい。本気を出すと見えてくるものがあるはずです。 理系の大学生活の真の面白さは4年生以降の研究生活の充実度合いで決まります。人生が豊かになるような研究生活が送れるか、研究を一緒にやって楽しそうな教員か、という視点でも大学を調べてみましょう。一言コメント一言コメントヒミツの特技ヒミツの特技Messege from Professors教員からのメッセージ

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