群馬大学理工学部・大学院理工学府 案内 2018
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ロボットに組み込む小型燃料電池の開発光で物質の『性質を見る』DIY生き物の観察 燃料電池は燃料の化学エネルギーを高効率で、しかもクリーンに電気に変える装置です。自動車用や家庭用として開発が進み、普及段階に入っています。燃料に水素が用いられていますが、水素の他にアルコールなどの液体燃料も利用できます。 アルコールを直接利用する燃料電池は、簡単なシステム構成が可能なので小型・軽量にできます。その結果、理想的には充電型電池に比べ約10倍のエネルギーを蓄えられます。ロボットなどの次世代の電子機器では、小型で長持ちし、高出力な電源が求められており、アルコール燃料電池はその用途に適しています。 これまでアルコール燃料電池は出力が低いことが問題でした。私たちは出力を上げるための電極触媒の開発に取組み、ナノサイズの貴金属粒子と酸化物微粒子の間の相互作用が発現するナノ構造体を考案し、これまでの触媒に比べはるかに高い活性を持つ触媒の開発に成功しました。さらに研究を重ねて、実現させることを目指しています。素材で勝負:高性能のハイテク製品を作る場合、その性能にちょうど合った性質を元々もつ物質を探して材料に選ぶ手があります。おいしい料理を手軽に作るため、良い食材を入手するのと似ています。理論も大事:ハイテク製品としての性能は、主として材料物質中の電子の集団の示す電気・磁気的な性質で決まるため、その性質を調べる場合、良い食材を選ぶ際には有力な人間の五感は適していません。その代わり、物質中の電子と強く反応する光をあて、その応答を調べる方法があります。ただし、その際に得られるデータは大変複雑であり、その意味を正しく解釈し、物質の『性質を見る』ための理論が必要となります。小さくてもユーレカ:当研究室では、主にX線(光)と磁性体(物質)の関与する興味深い現象を、紙と鉛筆とPCを使って解明する理論研究を行っています。たとえ小さな成果でも『今この答えを知っているのは、世界中で自分だけ』と確信できた時の達成感は格別です。理工系を目指す皆さんにも到達可能性のある、お金では買えない贅沢です。 先日は10年の使用でウロコがついた風呂場の鏡を新品同様に復活させました。家電製品や水回りの修繕、庭木の剪定などは、趣味と実益を兼ねてほとんど自分で行っています。家族には重宝がられています。 生き物全般(哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類・昆虫)の観察に時間とお金を費やせます。キャンパスで立ち止まり、地面や壁を凝視しているおじさんがいたら、(昆虫でも見つけた)私かもしれません。教授 中川 紳好 Nakagawa Nobuyoshi准教授 長尾 辰哉    Nagao Tatsuya 「好きこそものの上手なれ」と言います。面白いと思ったことや、興味あることにこだわって、より深いところを自分で探ってみましょう。これが研究の第一歩です。将来のエネルギーや環境について一緒に考えましょう。 皆さんが大学の卒論や大学院で扱う研究課題の多くは、皆さんが世界で初めて行うものになるので、必要な知識を予め完全に決めるのは不可能です。大学では、本命でなさそうな分野の勉強も積極的に行って下さい。一言コメント一言コメントヒミツの特技ヒミツの特技

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