群馬大学 大学案内2018
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公道での自動運転実証実験公共交通実証用車両(自治体との共同研究)CSi 化学で習った周期表。その第14族の上から1番目と2番目に、炭素(カーボン)とケイ素(シリコン)があります。どちらも典型元素と呼ばれる元素です。カーボンは生物の体を構成する主要な元素であり、シリコンは岩石を構成する主要な元素です。このありふれた元素が、高度な技術やそれを用いた製品の実現を可能にしています。 皆さんが使っているスマホやタブレットには長時間駆動するリチウム電池が搭載されており、電極にはカーボン材料が使われています。その電気回路を構成する集積回路には半導体として機能するシリコンが使われています。また、最新の旅客機であるボーイング787には、機体にカーボンファイバーとプラスチックの複合材料が採用され、これにより機体が軽量化され、長い航続距離の実現がなされています。飛行機には操縦のための多くのエレクトロニクス機器が搭載されており、ここでも半導体としてのシリコンが多く使われています。スマホやタブレット、旅客機とたった2例を見ただけでも、カーボンとシリコンがいかに多く使われているかが分かります。このように、周期表の14族の上の方に位置する2つの元素が、現代の高度な技術と製品の実現を可能にしているのです。 群馬大学では、半世紀以上も前から、カーボンとシリコンの科学と工学に取り組んできました。その成果の1つが、白金に代わる燃料電池の電極触媒として期待されているカーボンアロイ触媒です。そして今、私たちはこのカーボンアロイ触媒を用いた「カーボンで創る水素社会」の構築を目指し、研究を進めています。平成27年(2015年)、群馬大学はカーボンとシリコンを集中的に研究するための施設、「元素科学国際教育研究センター」を立ち上げました。本センターでは、カーボンとシリコンに関する基礎から応用までの広い分野の研究を行い、次世代を切り拓いていく材料分野の研究者・技術者を輩出することを目標としています。 群馬大学は、レベル4に相当する完全自律型自動運転(完全自動運転)技術を用いた新たな移動交通システムの研究を進めるとともに、次世代モビリティに関する高度人材を育成するため、平成28年12月1日に「次世代モビリティ社会実装研究センター」を設置しました。本センターでは、完全自動運転に関する情報地図作成技術、認知・判断・操作技術、車車・路車間協調技術、管制・遠隔操作技術、完全自律型車体プラットフォーム開発技術、自動運転シミュレーション技術を基に、完全自動運転社会の実現に向けた取り組みを推進しています。 また、本センターで行う完全自動運転自動車の社会実装研究が文部科学省の「地域科学技術実証拠点整備事業」に採択されました。この事業では、平成29年度に「完全自動運転総合研究開発施設(研究開発棟)」及び「自動運転専用走行試験施設」を荒牧キャンパス内に整備します。研究開発棟では、参画企業や自治体、研究者が常駐するスペースと、関係者が協議する「コラボレーションスペース」をはじめ、完全自動運転の研究に必要な「サーバー室」、「シミュレーション室」、「管制・遠隔操縦室」、「車両整備開発室」を整備します。加えて、走行試験施設では、可動式の道路設備を設置して様々な交通環境を再現し、完全自動運転の安全走行評価の実験を行います。 群馬県は、全国有数の自動車関連産業の集積地である一方で、交通渋滞や過疎地での移動手段など交通に関する課題が多くある地域です。群馬大学は本センターの活動を通して、地域社会・住民が抱える課題解決に貢献するとともに、地域企業・自治体と協働して様々な分野におけるイノベーション創出を目指します。完全自動運転技術の開発次世代モビリティ社会実装研究センター元素科学国際教育研究センター18

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