群馬大学大学院 教育学研究科案内 2019
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33群馬大学大学院教育学研究科専門職学位課程 大学院を卒業後、私は小学校に赴任し、教員として教壇に立っています。大学院での2年間の学びが、今の自分の力になっていると感じています。 私が在籍していた「児童生徒支援コース」では、教育心理や教育相談、発達障害がある子どもへの対応など、学校現場ですぐに生かせるような児童・生徒理解や支援を中心に学習しました。特に印象に残っているのが、学習支援や教育評価の講義で、グループごとに授業を計画し、代表で模擬授業を行ったことです。同じグループの現職の先生と協力して指導案から授業を作成し、模擬授業の練習から発表に至るまで、授業のことを基礎から丁寧に教えてもらえました。模擬授業発表後には、さらに良い授業にするために教授も交えて授業検討会を行いました。今振り返ると、指導案作成段階から現職の先生と授業づくりができたのは、とても貴重な経験であったと感じています。 また、1年次では7週間、2年次では30日以上の教育実習が設定されており、実習を通した課題研究ができます。課題研究を行うゼミでは、2年間継続して2人の教授からご指導いただけます。実習中には、授業実践を見ていただき、振り返りと授業検討を重ねて研究を深めていきます。子どもとのやりとりの仕方など、細かな所まで熱心に教えていただきました。大学院で学びながら、学校現場での経験を多く得られたことで、授業力が向上しただけでなく、実際に自分が教員として働く姿を具体的に想像できました。 正直なところ、一つ一つの授業に時間をかけて試行錯誤することや、授業後にじっくり授業検討を行ったりすることは、大学院の時のようにできずにいます。ただ、授業を考える時や子どもに言葉をかける時、大学院での経験が思い出されます。そして、困った時には、大学院の教授や同期の仲間・先生達に助けられています。教職大学院での経験やつながりが、私の教員生活を支えてくれています。先輩からのメッセージ平成27年度入学児童生徒支援コース山口 友梨(安中市立磯部小学校) 私は45歳で教職大学院に入学しました。教職経験20年を越えての入学は勇気のいるものでしたが、その不安はすぐに解消されることとなりました。 県内各地から集まった意識の高い現職教員の院生たち、教員になる夢の実現に燃えるストレートマスターたちと学び合う毎日は、新たな発見の連続でした。教職大学院の特徴の一つが研究者教員と実務家教員からTTで指導を受けられるという点です。研究者の先生方から、最新の教育理論を与えられたことは自分自身の新たな学びとなりました。また実務家の先生方からの経験にもとづいた授業は、自分自身の経験と照らし合わせ、時には自分自身の反省となり、時には自信となるなど、今までの自分の教職経験をふり返る時間となりました。 大学院2年目は勤務校での課題解決実習になります。私は大学院入学とともに新しい学校への移動となったため、全く知らない生徒達や新しい同僚の先生方との間で課題解決実習に臨むこととなりました。私の課題研究のテーマは「中学校におけるキャリア教育の改善・充実を目指して~生徒のキャリア発達を促す教師の支援と保護者の関わりを通して」というものでした。1年目に同僚教師から聞き取りを行ったり、学校評価の結果を分析したりと、勤務校のキャリア教育の現状や生徒の様子などはある程度把握しているつもりでいました。しかし実際に研究を進めると、とまどいの連続でした。それでも無事に研究を終えることができたのは、大学院の先生方の手厚い巡回指導や院生仲間の励ましによるものでした。 現在私は進路指導主事として、勤務校のキャリア教育の充実に取り組んでいます。また学力向上コーディネーターとして勤務校の学力向上にも努めています。どちらも大学院で学んだことを生かせる分掌であり、大学院での学びが今の自分の大きな財産となっています。大学院での2年間の経験や先生方、仲間との出会いは私にとって一生の宝だと思っています。先輩からのメッセージ平成27年度入学学校運営コース武田 知之(太田市立藪塚本町中学校) 「今までの実践は本当に良いのだろうか」「何かが足りない気がする」そんな思いを持ち、「学び直し」が必要ではないかと感じた時に、学びの機会をいただきました。 私にとって、大学院では、「3つの学び」ができたと感じています。 1つ目は、「実践と理論が結びつく学び」です。改めて、教科等の実践的な指導方法や生徒指導・教育相談、学級経営等、学校教育全般に係わることを広く学び、学生や教員になってまもなくの頃受けた研修では、よく分からなかったことが理解できました。それは、現場で実践してきたことと結びつけられたからでした。「このやり方でいいのか」「子ども達のためになっているのか」と自問自答していたことが、理論で裏付けされた気がしました。教育に対する新しい考え方にも触れ、自分の引き出しを増やすこともできました。 2つ目は、「今までと違う視点での学び」です。ここでは、今まで考えたことのない、「学校組織」について考える機会を与えてもらいました。学校組織は、一人一人が大切な役割を担っていることや沢山の外部の支えがあって成り立っていることが分かり、私自身ができることもあることを実感しました。 3つ目は、「時間をかけた学び」です。自分のために時間を費やし丁寧に学ぶ事が出来ました。課題研究を進めるための文献を読むことだけでなく、授業で紹介された書物をいくつも読むことが出来ました。自分に足りないものや挑戦したいことをみつけることができました。先生方の授業や仲間との話し合いの中で自分の考えを再構築することにつながり、自分自身の幅を広げることになったと感じています。 大学院で得たものは、たくさんの「つながり」です。「人」を育てる私たちにとって、「人」とのつながりが大切であることが感じられ、今の自分を支えてくれる礎となっています。先輩からのメッセージ平成24年度入学学校運営コース野村 聡子(太田市立藪塚本町南小学校教頭)

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