群馬大学大学院 医学系研究科生命医科学専攻 入学案内2019
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17Graduate School of Medicine病理学には疾病の成因を追究する基礎医学としての側面と、疾病を診断・分類する臨床医学としての側面がある。当分野では特に脳神経系に光を当て、脳腫瘍や種々の神経疾患について病因究明、病理診断、新規の治療法の探索などをおこなっている。脳腫瘍の病理診断については約半世紀にわたり、我が国の事実上のナショナルセンターの役割を果たして来た。研究対象は主に人体材料であるが、脳腫瘍に関しては世界で我々のグループのみが保有する脳腫瘍好発性トランスジェニックラットも用いている。【Keywords】神経病理学、脳腫瘍、腫瘍の分子細胞遺伝学、グリア細胞、トランスレーショナルリサーチ当分野では「がん」の研究を行っている。がんは遺伝子病であり、がん遺伝子ならびにがん抑制遺伝子がその発生に関与する。がんの発生は遺伝子異常の積み重ねによって、細胞の形態や周囲環境が多段階的に変化し、最終的にがん細胞となることが多い。発がんやがんの進展過程における遺伝子異常を関連蛋白発現や形態学的立場から明らかにし、より精度の高い病理学的診断を構築し、臨床にフィードバックすることによってがん診断治療の一翼を担うことが研究目的である。【Keywords】がんの形態学、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、関連蛋白、ウイルス発がんクロマチンは、全長2メートルにも及ぶゲノムDNAとヒストンなどのタンパク質からなる巨大構造体である。この巨大な構造物が、その多彩な機能を維持しつつ直径約10ミクロンの細胞核にどのように収納されているか、の理解はきわめて重要である。当分野では、特にクロマチンの核内配置と修飾に着目し、これらと遺伝子調節との関連を神経細胞の分化過程、および分化したニューロンの機能に着目し研究している。【Keywords】クロマチン、核構造、エピジェネティクス、転写調節、神経細胞産科婦人科学には生殖医学、婦人科腫瘍学、周産期医学の分野がある。生殖医学では視床下部-下垂体-卵巣系の内分泌制御機構と疾患の関連、子宮内膜症の病因・病態の解明と新規治療法の開発を、婦人科腫瘍学では子宮体癌・卵巣癌のシグナル伝達の解析、新規予後因子の同定と新規治療薬探索を、周産期医学では産科合併症を中心とした基礎・臨床研究を行っている。各分野とも最新の分子生物学的手法、疫学的手法を取り入れている。【Keywords】生殖内分泌、子宮内膜症、婦人科悪性腫瘍、産科合併症泌尿器科疾患の中でも、前立腺癌を中心とした悪性腫瘍の基礎研究および臨床研究に取り組んでいる。男性ホルモン依存性癌である前立腺癌の発生要因としての遺伝子の関与や、脂質の関与を、多方面から検討している。疫学的研究も、前立腺癌検診から得られた臨床データをもとに解析し、腫瘍マーカーの点から詳細に研究を進めている。【Keywords】泌尿器科腫瘍、前立腺癌、男性ホルモン依存性、前立腺癌検診脳神経外科学は、カテーテルや内視鏡などの新しいデバイスの出現によりこの10年で大きく変容した。これらの技術革新により脳外科疾患の外科治療はより脳科学的根拠に基づいた低侵襲手術へと移行しつつある。術前、術中の画像診断、神経生理学的検査を発展させ、解剖学、病理学、生化学的な理解を深めることにより、真に洗練された脳神経外科治療技術について研究する。 【Keywords】顕微鏡下手術、血管内治療、内視鏡下手術、術中画像診断、術中神経生理学検査1)光干渉断層計(OCT)を用いて、眼底疾患の発症機序やその病態を観察する研究2)イリジウム錯体のりん光寿命を測定することにより、眼底の酸素分圧を検出するシステムを開発する研究3)分子生物学的アプローチでマウスの網膜剥離モデルを調べ、網膜視細胞障害のメカニズムの探る研究を行っている。 【Keywords】光干渉断層系、イリジウム錯体、りん光、酸素分圧、網膜剥離がんに対して生体は様々な免疫応答を起こしている。しかしながら、がんはその発生、増殖、そして臨床的に同定されるまでに生体の免疫監視から様々なメカニズムを使って逃避していく。当分野では頭頸部癌を対象にがんに対する免疫応答の仕組みとこの免疫応答を利用したがん免疫療法について取り組んでいる。また、がん微小環境におけるがん細胞と間質細胞の相互作用の研究から新たな治療ターゲットの探索を行なっている。 【Keywords】頭頸部癌、免疫抑制機構、免疫療法、がん微小環境病態病理学横尾 英明病理診断学小山 徹也小児科学産科婦人科学岩瀬  明泌尿器科学鈴木 和浩脳神経外科学好本 裕平眼科学秋山 英雄耳鼻咽喉科・頭頸部外科学近松 一朗

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