熊本大学 理学部 2024
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博士前期課程1年学部での専攻・3年次より数学博士前期課程1年学部での専攻・3年次より物理博士前期課程1年学部での専攻・3年次より化学博士前期課程2年学部での専攻・3年次より地球環境科学博士前期課程2年学部での専攻・3年次より生物森若健太田中 奎伍江口    谷口ちひろ可奈黒木太一もりわか   けんたたなかけいごえぐちたにぐち   かなくろきたいち■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■仲間との議論が楽しい。数学の面白さ伝える教員に 高校までの数学は一つの答えを導き出しますが、大学では答えを出すというより、「証明する」ことや「示す」ことが求められます。抽象的ですが、証明する方法は一つではありません。ゼミの仲間と方法をめぐって、ああでもない、こうでもないと議論するのが楽しい。ほかの人の考えを聞いたり、自分の考えを話したりすることで、自分の中にさまざまな方法を落とし込んでいけます。 研究テーマは有限群論。方程式がなぜ解けるのか、といったことを研究しています。数学は一人でじっくり考える時間も大切ですが、周りの友達と話し合うと、楽しさが見つけられると思います。 高校時代、数学の先生の授業が面白かったので、私も高校の数学の教員になりたいと思いました。学部時代に教員の一種免許を取得。大学院で専修免許を取得する予定です。高校時代の先生のような、ユーモアがあって数学の面白さを伝えられる教員を目指しています。自然現象を数式で表す面白さ。未来の半導体材料を研究 高校時代、自然科学部に所属し、部活動で物理学の研究をしていました。自然の現象を数式で表せるところが、物理学の面白いところです。実験で失敗することもありますが、その要因を調べると、思いがけない発見につながることもあります。 現在私は従来の半導体に代わる「2次元材料」の研究をしています。半導体デバイスには主にシリコンが使われてきましたが、シリコンを使ったデバイスの微細化には限界があります。そこで注目されているのが2次元材料です。一般的な物質と比べ2次元材料は原子数個分の厚さしか持たないためとても薄く、微細化できるメリットがあります。2次元材料には特有の性質もあるので、新たな製品として使える可能性があります。研究している材料が世の中で使われるようになるとうれしいです。将来は半導体業界で研究職になれたらと思っています。生活を支える有機化合物。肌に優しい化粧品を作りたい みなさんは気づいているでしょうか。私たちの生活の様々な場面で有機化合物が活躍しています。例えば、衣服の繊維やスマートフォンのディスプレイ、化粧品にも使われています。そういったユニークな有機化合物に魅せられて、私は不斉合成化学を研究し、新しい機能をもったキラル有機分子をつくり出すことに挑戦しています。  何かに打ち込むには、いろいろなことに興味をもつことが大切だと思います。実は、高校の最初の頃は理系科目に対して苦手意識がありました。それでも、将来を夢見て一心に取り組むうちに、徐々に理解が進み、問題を解くのが楽しくなりました。 ゆくゆくは博士の学位を取得し、化粧品の開発に貢献する研究者になることを目指しています。化粧品は直接肌に触れるため、人によって合わないこともあり、肌荒れの原因となってしまいます。この問題を有機合成化学の力で解決し、人々の日常を華やかに彩り、心も豊かにするような化粧品を世に出したい。それが私の夢です。やりたかった熊本ならではの研究。地下水の汚染解析 鹿児島県出身で、熊本大学では、熊本でしかできないことがやりたいと思いました。地学を専攻したのは、地下水都市の熊本で、地下水の研究をしてみたかったから。今は、地下水に含まれる硝酸性窒素の濃度をコンピューター上で再現する研究に取り組んでいます。農業や畜産由来の窒素が地下水に浸透し、生成されるのが硝酸性窒素。濃度が上がり続けると、飲料水利用ができなくなります。現在、行政や企業と共同で、地下水汚染問題の解決につながるようなモデルの実用化を目指しています。 専攻が地学でも、物理や生物、数学など、いろんな分野の知識をパズルのように組み合わせて「現象」を理解する。それはどの分野にも共通する理学のおもしろさです。その中で地学は、見ることができない地下のことや、地球規模のスケールで自然現象理解に挑戦できる興味深い分野だと思います。難病の原因となる細胞死のメカニズム解明に挑む 高校時代の生物の授業が面白かったので、生物を専攻しました。体の中で起きる現象に興味があります。例えば「暑い」と皮膚が感じたら感覚器を通って脳に情報が行き、汗が出るなど、いろんなものが連動しているのが面白いです。 研究しているのは、体の中で細胞が死んでしまう「細胞死」。難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の原因は、運動神経細胞が死んでしまうことで、体が動かなくなってしまいます。なぜ細胞死が起きるのか。マウスの細胞を培養して実験し、メカニズムを調べています。今まで知られている細胞死とは違うメカニズムではないかという仮説もあります。治療法につなげるための小さな助けになればと思っています。 もっと研究を深めたいと院に進みました。実験は、予想とは違う結果が出ることもあります。それは失敗というより、新しい発見だと考えています。研究は新しい発見の連続です。「次はこうしてみよう」と考え、日々新しいことに挑戦できるのが研究の面白さです。■■=■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■大学院生メッセージ

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