高知工科大学 2024
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未来に進む先輩例えばこんな講義例えばこんな研究室大谷 政孝 准教授伊藤 亮孝 准教授43Kochi University of Technologyナノサイズの分子を設計・組み立て・評価し、“ものづくり”の原点を学ぶナノサイズの分子を設計・組み立て・評価し、“ものづくり”の原点を学ぶ学士課程 身の回りの物質は、「光る」「曲がる」「歪む」「取り込む」「吸い着く」など様々な機能をもっています。これらの機能を生み出し、さらに高性能化して私たちの生活に役立てるには、原子や分子レベルでの設計・合成・評価が必要です。本専攻では、物質の構造や性質、反応に関する基礎知識を習得するための教育と、化学を駆使した機能性物質の開発に取り組んでいます。さらに修士課程では、より高度で実践的な研究活動を通じて機能性物質をつくり、評価する専門力を養います。金属イオンと有機分子から作り出される空間と機能身の回りの建築物では、素材の組み合わせや広さにより、内部の空間の快適さや機能は変わります。ミクロな分子の世界でも同様に、材料内部の空間はその機能性と深く関わっています。我々の研究室では、ある種の金属イオンと有機分子の組み合わせから作り出される結晶性の「ナノ空間」に注目して研究を行っています。特に、環境のわずかな違いで、得られる結晶の大きさや外形が異なる点に着目し、電子顕微鏡やX線回折などの様々な分析法を駆使してナノ空間の形成過程や機能発現の解明に取り組んでいます。これらの研究を発展させて、ナノ空間を利用した二酸化炭素の回収や、触媒作用による資源化反応への応用をめざしています。 化学とは、様々な現象や性質を物質の立場から探究する学問です。一見関連性がない事象同士であっても俯瞰することができる「化学の視点」を身につけます。さらに研究活動を通して、問題点を見極め、議論と実験を重ねながら検証し、成果をまとめて発表するというプロセスを経験し、世界に通用する研究力を身につけます。そうして得た知識と経験を生かして、研究者、技術者、教育者など、化学の分野に限らず様々な分野で活躍できる人材として育つことをめざします。※ 専攻・副専攻に関わらず、学群内のすべての研究室を志望することができます。光を吸収・放出する物質の創出とその機能解明                    物質が可視光を吸収・放出すると私たちには色がついたり光って視えます。普段目にするインクやディスプレイなどは、これらの現象を利用して私たちに様々な視覚情報を与えてくれています。本研究室では、有機化合物や有機−無機複合化合物、あるいはそれらの複合体を基本とする様々な光吸収・発光物質の開発と機能解明を行っています。色素としての利用のほか、光吸収をきっかけとするエネルギー変換反応への応用や「目に視える」という特徴を生かした新しい機能の創出をめざしています。学ぶ意義学士課程学士課程大学院修士課程化学研究企画論1、2これまでの研究概要(アブストラクト)、国内外における関連研究の動向・展望(ミニレビュー)、研究計画(プロポーザル)を作成し、プレゼンテーション・質疑応答を行います。指導教員とは別の教員による指導を通して、研究総合力と自分の研究に対する広い視野を養います。化学研究企画論2では、そのプロセスを英語で行います。将来の展開有機化学1、2、3電子の動きを考えることによって、有機分子がどのように振る舞うのか、あるいは、化学反応がどのように進行するのかを理解します。そして、化学反応は覚えるものではなく、考えればある程度予測できるものであることを学びます。物理化学物質の挙動や化学反応を熱力学、化学平衡、速度論の観点からとらえることを学びます。化学反応を考えることは、エネルギーを考えることです。それが平衡の偏りや反応速度の変化にもつながることを学び、論理的なアプローチの仕方を身につけます。自然界に存在している有機化合物を模倣しつつ、これまでにない有機化合物などの合成に取り組んでいます。 1年次に受講した基礎的な有機化学で学んだ化学的変化のひと続きの流れ(反応機構)に興味を感じ、西脇先生(西脇 永敏教授)の研究室に早期配属で入りました。通常3年次から配属される研究室に2年次で入った年は、新しく入った学生に対して開催された勉強会に参加して、有機化学を一から勉強しなおしました。おかげで忘れていたことも思い出し、改めて化学の面白さを感じた1年でした。3年次になって本格的な実験を始めるにあたって、先生から与えられたテーマが「植物に含まれる天然の化合物を人工的に合成しよう」というもの。具体的にはクスノキ科のクロモジという植物に含まれる有用な化合物の人工的な合成です。既に先行した研究があるので、その構造を変えて一から合成してみようとしています。どのような生理活性を示すのか不明ですが、合成の研究に取り組んでいるところです。大学卒業後は大学院に進み、ステップアップした研究に取り組みたいと思っています。石田 瀬利佳さん高知県・私立土佐女子高等学校出身光機能化学研究室機能性ナノマテリアル研究室理工学コース(機能化学分野)機能化学専攻大学院工学研究科 基盤工学専攻修士課程

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