高知工科大学 2024
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未来に進む先輩例えばこんな講義例えばこんな研究室中原 潔 教授篠森 敬三 教授52KUT WAY 2024脳活動計測などによって人間についての理解を深め、人に優しい情報通信技術のデザインに貢献する脳活動計測などによって人間についての理解を深め、人に優しい情報通信技術のデザインに貢献する学士課程 人間の判断・認識能力を上回るようなAIの出現やVR技術の発展により、これまで人間に依拠してきた知性や現実世界の認識のあり方自体が変わる時代になってきました。このような時代では、情報学は私たち人間の脳情報・心理情報により密接に関わることになり、双方の特性と可能性を深く理解することが情報学のさらなる発展に不可欠です。本専攻では、脳活動計測、心理実験、生体計測などを通じて人間についての理解を深め、人に優しい情報通信技術の開発に貢献していきます。fMRIや心理実験によって意識や記憶の脳の仕組みに迫ります。私たちは起きている時や夢を見ている時、自分の意識が連続して流れているように感じます。そして意識の流れの一部は記憶として脳に残り、エピソードや知識として後から思い出すことができます。本研究室は巧妙な心理実験やfMRIによる脳機能イメージングを駆使して意識と記憶の■に迫ろうとしています。特に視覚的意識に着目し、視覚入力が意識的に知覚される時、脳の中で何が起こっているのかについて研究しています。また10年以上前の古い記憶(遠隔記憶)が脳の中にどのように貯蔵されるのかについての研究も進めています。 本専攻では、コンピュータ科学の基礎を学ぶと同時に、脳活動計測、心理実験、生体計測などの実践的な技法を通じて人間について理解を深め、脳情報学、心理情報学を修得します。情報通信技術の確かな基礎知識の上に、人間そのものや人間と情報技術のつながりについての専門知識と深い見識を身につけることにより、人に優しい未来の高度な情報通信技術の牽引者となることを期待しています。視覚情報の処理の仕組みと感性応答形成との統合的な理解をめざしています。ある物を見た時、視覚情報処理機構が出力する結果と今までの経験や記憶とを脳内で比較する事で、まずその物が何であるかを理解します。さらに人は物に対する印象をもちます。印象は穏やかな、清廉な等の感性的印象語で表現されますが、それらの感性応答には、その物のもつ様々な色、デザインや形だけでなく、その素材や周りの環境、照明なども影響します。最終的な感性的印象は、経験や美的感覚など様々な脳内処理の結果として作られます。本研究室では、物の見え方からどのように感性的な印象が作られるのかまでを統合的に研究しています。学ぶ意義学士課程学士課程将来の展開知覚情報処理トータルな情報システムを理解するためには、人間が情報を処理する過程についての理解が欠かせません。「画像処理」、「コンピュータグラフィックス」などでの学習の前提となる視覚系を始めとした人間の知覚情報処理について、幅広くかつ深く学びます。認知心理学人間に優しい情報システムをデザインするために、人間の特性を学ぶ必要があります。認知心理学は、情報処理的なアプローチで人間の知覚や記憶、学習のメカニズムを学習し、人間がどのように問題解決を行っているかを理解することで、人間に優しい情報システムのあり方を学びます。大学院修士課程脳情報科学論人間の側に立って情報システムを有効に活用していくためには、人間の優れた知的能力を理解し、人間の特性を学ぶ必要があります。人間は自己を含めた環境からの様々な感覚情報を脳で処理・統合し、知覚、認知、運動を行っています。この講義を通じて、脳を調べる心理物理手法や脳を計測する技術を理解し、知覚、認知、運動といった脳の機能についての知識を習得していきます。そして神経生理学および計算論的神経科学の観点から脳の情報処理に対する理解を深めていきます。 将来性のある研究分野だと考えて情報分野を学ぼうと入学を決めましたが、入学当初はとりたててこれをやりたいと決めたものはありませんでした。ただ高知工科大学にはMRIが備えられ記憶など脳情報の研究が進められており、もともと記憶という分野に興味があったのでこれなら研究に打ち込めそうだと思い、中原先生(中原 潔教授)の研究室に所属しました。現在はMRIを使って昔の記憶(遠隔記憶)と最近の記憶(近時記憶)の脳の活動パターンを研究しています。具体的には、ゲームのキャラクターを題材にして、昔のゲームのキャラクターと最近のゲームのキャラクターをMRI中の被験者に見てもらい、見たときのそれぞれの脳の活動パターンについて違いがあるのかどうかを機械学習を使って分析しています。今後も大学院でより深く研究を続けていきたいと思っています。認知神経科学研究室大学にMRI(Magnetic Resonance Imaging)があるという恵まれた環境で、記憶について研究しています。今村 拓未さん兵庫県立尼崎小田高等学校出身視覚・感性統合重点研究室(萌芽研究センター)情報学コース脳情報・心理情報学専攻大学院工学研究科 基盤工学専攻修士課程Informatics

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