高知工科大学 2024
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72KUT WAY 2024 4代目プリウスのトランスミッションの製造ラインを立ち上げ、その仕事に取り組んだ後、新設されたパワートレーン生技部に配属になりました。その部署では、富士山の麓にある東富士研究所で発案される未来的な先行設計と現実的に生産する技術をすり合わせ、どう具体化するかを命題にしていました。エンジン・トランスミッションから次世代環境車の動力源までの幅広い分野において、先行設計の自由な発想と現実の生産技術をつなぐには、広く深い専門知識とロジカルシンキングに基づいたコミュニケーション能力が求められました。設計側に発想段階からモノづくりのことを考慮してもらい、製造側もどうすれば製造可能になるかを設計側にロジカルに伝えるようにすることで、お互いに寄り添って一緒に開発していこうと日々努力を繰り返していました。 昨年から人事異動で、よりマネジメント能力が求められる部署に配属になりました。自動車業界自体が大きく転換を求められている状況下で、トランスミッション工場の生産ラインの競争力をより高めるための戦略的な企画立案およびそれに合わせて新技術開発の実行を行う部署です。現在生産中のユニットから開発中のユニットの生産ラインまで、様々な関係部署と協議し今後の市場動向を予測しながらより良い生産技術・トランスミッションを開発していくことを期待されています。このような多岐にわたる知識、視野が必要な仕事内容に戸惑いはありましたが、自分自身の知見やスキルの拡大につながると前向きに考え、日々わずかでも成長を感じながら頑張っています。 このような企画・開発業務においても大学時代に鍛えられたロジカルシンキングはとても強い武器になっています。大学の時は、ハイレベルで相当厳しいと噂のあった蝶野・辻研究室(蝶野 成臣教授・辻 知宏教授)に配属を希望し、液晶に関する前人未到の分野に挑んでいました。成果がなかなか現れず、悩む日々の中で『なぜ?』にこだわることから次の研究過程につなげ実験を重ねた経験が今の仕事に生かされています。厳しく鍛えていただいた両先生に感謝しています。新しい仕事内容に自分の至らなさを感じることも多いですが、今後も周囲の人々と協調しながら、「井上だから任せられる」と言われるような存在になれるよう頑張っていきたいと思っています。 地域の方々と交流する中で、短期間しか関われない学生であっても、心と心が通じ合い信頼関係が築けたと思える瞬間がありました。大学のマネジメントや心理学の授業で学んだ「人の心が動く仕組み」を実体験できたのです。このような感動や喜びを届けられる仕事に就きたいと思ったのが、就職活動のスタートラインとなりました。 感動や喜びを伝え、できればその瞬間を直接自分の目で見られる仕事には、例えば教育やホテルなどもありますが、一度に伝えられる数など規模の大きさでいうとテーマパークが最たるものだと考え、入社を果たしました。 入社以来様々な仕事を経験し、現在はフードサービス部のフードオペレーショングループに所属しています。パーク内にはフードやドリンクを販売するカートが点在しています。今の仕事は、そのカートに食材を提供するキッチンで、仕入れや仕込みの分量の調整、調理作業担当のクルーの仕事環境の把握など、キッチンのコントロールが主な業務です。今後も様々な仕事を経験しながら、視座を高めていき、より広範囲のマネジメントができるよう頑張ります。今胸に温めているアイデアや企画を実際に叶えられるように、日々少しでも成長していきたいです。 生活に不便なく、なんでも揃っている街中の生活から抜け出してみたいという気持ちで高知工科大学を選択し、後期試験で初めて高知県に足を踏み入れました。もともと、何か物事を始める前にいろいろ考えることをせず「えいやっ」という気持ちでやってしまう性格の本領を発揮したというところです。 大学の授業は座学ばかりというイメージでしたが、実際には様々な地域に出かけて地域活性化に取り組むような機会が多く、2年次にはNPO法人でのインターンシップに参加し、高知県西南部の柏島で2週間過ごしました。地域の人々と触れ合う中で、闇雲に活性化することが正解ではなく、例えば大量のゴミの発生など観光公害についてどう解決していくかなども議論しました。また、課外活動では、よさこい委員会に所属、代表として地域の人たちと交流し、本気で遊ぶ大人の人たちの熱量の大きさに触れることができたのもいい経験でした。トヨタ自動車株式会社駆動H・EV製造技術部 第1計画室井上 大樹 さん大学院修士課程知能機械システム工学コース2011年修了佐賀県立唐津東高等学校出身大型テーマパーク(大阪府)フードサービス部亀田 夏帆 さん経済・マネジメント学群2020年卒業愛知県立豊明高等学校出身自動車産業の一大変革期に呼応して、戸惑いを覚えながらもロジカルシンキングを武器にスキルの拡大を図ります。学生時代に授業や「よさこい」を通じて、多くの地域の方々と接し、感動や喜びを共有できる素晴らしさを体験できたことが今の仕事の原点です。OB・OGVOICE

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