京都大学 大学案内 2024
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数理科学において、主に解析学的な手法を用いて、さまざまな現象の変動過程の数理構造の解明をめざすとともに、情報科学において、理論と応用の両面から探求を行います。数理科学においては、常微分方程式、偏微分方程式、確率微分方程式、確率過程、離散力学系、複素力学系、カオス・フラクタル理論などを用いて記述されるさまざまな数理的現象を解析します。情報科学においては、機械学習、データサイエンス、メディア情報処理についての理論と応用、またパズル・ゲームの数理、量子計算などの諸問題について探究します。さらに、プログラミング言語理論、数理論理学、証明支援系、圏論、記述集合論などを通じて、計算の本質、特に数学の中に現れる計算概念に関して追究します。本講座は、イギリス・アメリカを起点として世界に広がる英語圏文学、ドイツ語圏とフランス語圏をはじめとして多言語文化を基盤とするヨーロッパの文学、さらにはヘブライ文学を視野に入れ、芸術の本質と未来の可能性を探求します。小説、詩、演劇などの文学作品から映画、舞台芸術、音楽、美術まで、様々なジャンルの創造行為を対象とします。文化的・社会的・思想的背景に留意しつつ、個々の作品をダイナミックで立体的なものとして浮かび上がらせるため、文芸批評、演劇理論、映画理論、芸術哲学を学びます。ローカル・グローバルの両側面に光を当てることによって個々の作品の特殊性と普遍性を解明し、異なる文化の共生を模索します。言語科学講座言語は人間の最大の特質であり、さまざまな知的な営みに欠かすことのできないものです。本講座は、理論言語学、記述言語学、応用言語学(教育・習得)の各領域を中心として、多角的に言語の本質を理解するための研究を展開しています。理論言語学の領域では、生成文法、認知言語学といった理論を用いて、言語の文法や意味、人間の認知能力を明らかにしようとしています。記述言語学の領域では、さまざまな言語の歴史的・地理的な変異や変種を調査・比較し、言語の普遍性と多様性を探求しています。応用言語学の領域では、外国語習得のメカニズムやプロセス、外国語教育の課題や制度などを、認知的・心理的・社会的観点から研究しています。持続可能な共生世界・共生社会の実現の可能性とその難しさとに向き合いながら、共生の上に成り立つ新たなコミュニティの構築に向けた社会制度・社会関係のあり方を、多元的に考究します。そのために、本講座では、国際関係・外交関係、世界の諸地域の歴史・社会(アメリカ・ヨーロッパ・インド等)、経済・資本制システム、環境・資源、移民、労働関係、公共政策・民主主義、メディア、憲法・司法システム等、幅広い事象に着目します。政治論・政策論・外交論・経済論・環境論・法律論・社会論・歴史論・思想論等を、領域横断的に相関させることにより、上記目的に寄与する総合知を創出します。また、それを実践し、活用できる人材を育成します。当講座では、物質の基本構成要素である電子・原子をはじめ、H2やCO2などの小分子から、より複雑な有機・生体分子や3次元固体物質まで、サイズや次元が異なる多様な物質系について、次のような研究を進めています。1)新しい有機分子、ナノ材料、固体触媒、電池材料、分子性結晶、光機能性材料の創成と機能の探求、2)質量分析、核磁気共鳴、光電子分光、X線吸収分光、発光分光、トンネル顕微鏡などの各種分析・測定手法の開発、3)高温超伝導、強相関電子系、冷却原子系、低次元物質などの新奇物性現象の発見と発現機構の解明、4)光触媒・光熱変換触媒、燃料電池、光機能性材料などのエネルギー変換機構の解明「講座」とは学問分野の近い教員の集団で、学生もこれに所属して、自分の属す講座開講の科目を中心に体系的に専門の学修を深めてゆきます。人間は世界や他者、そして自己自身と関わりつつ社会を構成して生きる存在ですが、言語も思想も人間の産み出したものとして事後的に付加されるだけのものではありません。それらはむしろ人間自身と社会との関わりを根本から規定し、性格づけるものです。当講座は、言語と思想を持ち社会的な存在でもある人間、および人間と社会との相互交渉について、根源まで遡って原理的な究明を行います。また、原理的究明を踏まえて個別の社会のあり方や社会内の人間の具体的行動や発達の詳細、さらには病理的なあり方まで視野に収めて実証的研究を展開するとともに、その研究の実践への応用を試みます。東アジアの諸地域は、各地域が独自の文化を発展させるとともに、地域間の活発な交流によって、全体として大きなまとまりをもつ政治圏・経済圏・文化圏を作り上げてきました。この講座では、日本語学・日本文学、中国語学・中国文学、日本史・中国史、中国思想・朝鮮思想といった専門研究領域を基礎としながら、これらの学問領域を融合させて、東アジア諸地域で育まれた言語・文学・歴史・思想を縦横に研究し、西欧文明とは異なる東アジアの歴史・文化・社会を総合的に解明することを目指します。長い歴史のなかで育まれてきた固有の民族・文化・地域・空間・景観の特性や居住の諸相を「文化・地域環境」として捉え、その生成、展開、保全の諸過程や現状を解明する講座です。文化人類学、建築学・都市計画学、人文地理学といったフィールド研究にもとづく学問分野を横断し、文化・地域環境に関する基礎研究と実践研究を統合した研究教育を行っています。都市開発やまちづくり、地域活性化、文化遺産・景観の保全と活用、異文化・地域間交流、地域課題の解決に資する実務者・指導者・研究者を育成します。自然と人間とがよりよく共存できる関係の構築をめざして、宇宙や地球の過去・現在・未来、地球の内部や表層と生物達との関係や、生物の働きを探究します。地球物理学、地質学、古生物学、地球化学、惑星科学などの知識と技術を使って、惑星や衛星のできる過程、地球の内部や表層の動き、物質や環境の変化を調べます。また、生物同士の関係を調べることによって、多様な生物が存在する仕組みや生態系の安定性を探究します。さらに、生物が環境に適応したりエネルギーを取り入れたり変換する方法や、生物を含む自然の資源を健全に利用するための方法についての教育研究を行います。8KYOTO UNIVERSITY GUIDE BOOK 2024数理・情報科学講座芸術文化講座共生世界講座物質科学講座総合人間学部の10の講座人間・社会・思想講座認知・行動・健康科学講座認知・行動・健康科学講座では、神経科学、認知科学、心理学、生理学、運動科学、健康科学、運動医科学、精神医学などのさまざまな学問を基盤として、精神と身体が担う諸機能のメカニズム、発達過程、形成方法に関する基礎的研究と、健康づくりとスポーツ活動に関する実践的研究を行います。さらに、加速する情報化社会、生命・文化の多様化、人と機械の共生のあり方など、社会の変化にともなう人類の諸課題についての総合的な研究と実践活動を展開していきます。これらの成果をもとに、人類が生命活動・健康・発達をより良く実現していくための方策と手段を探求します。東アジア文明講座文化・地域環境講座地球・生命環境講座

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