京都大学 大学案内 2024
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アウグスティヌス『告白』の冒頭部分。1491年に刊行された最初期の印刷本織田信長朱印状新時代の思想の担い手を育成「哲学基礎文化学系」は多様な文化圏・言語圏に蓄積された哲学・思想を学び、新しい時代の思想の担い手を育成する〈場〉です。それは社会や他の学問領域では自明とされていることの原点に立ち戻り、問い直す〈場〉でもあります。たとえば「殺人は悪」とする常識の根拠は何なのか、善悪の区別に意味はあるのか、科学や歴史学が標榜する〈実証性〉とは何なのか、人間にとって宗教とは何なのか、美や芸術とは何なのか、これらの問いは人間の知的営み全般に向きあうことでもあります。哲学基礎文化学系は、そんな知的野心あふれる〈場〉にほかなりません。人類社会の発展を時間軸に沿って考察「歴史基礎文化学系」は日本史学、東洋史学、西南アジア史学、西洋史学、考古学の5つの専修で構成されています。文献史料を主な対象とする4史学と考古学の研究手法は大きく異なりますが、人類と社会の発展を時間軸から考察する点は共通しています。また、文献や史料を読み解く学力の習得を重視するとともに、演習・実習による実践的な学びを充実させているのも5専修の共通点です。さらに他学系の授業、たとえば地理学や現代史学、東西の古典語なども学ぶことにより、人類の文化的な営みを総体的に捉える視点を獲得することも可能です。中国語学中国文学研究室所蔵の貴重資料パソコン画面に映し出された視覚刺激を見つめるネコ時代をこえた文化研究を行う「東洋文化学系」では日本、中国、インド、チベットなど、東アジア諸地域の文学・思想・宗教・言語などを主に、時代をこえた研究を行います。専門分野によっては科学や芸術、サブカルチャーにまで踏み込むこともあります。その基礎は文献資料の読解にあり、原文でしかわからない意図や美の理解を求め、原典言語の学習に取り組みます。めざすのは、東洋と世界がどのように関わっているのか、歴史的伝統と現実はどのように結ばれているのか、文学や芸術はどのような世界を創るのか、これらを正確な専門知識と幅広い視野から解明していくことです。人々の思考と関係性が生まれる現場へ「行動・環境文化学系」は心理学、言語学、社会学、地理学の4つの専修で構成されています。心理学専修では実験を通じ、知覚・認知、思考、記憶、発達、社会性といった〈心の働き〉を研究します。言語学専修では、個別言語の構造・体系の分析や、言語が一般に機能する仕組みや変化する仕組みの研究を行います。社会学専修では社会構造の変化や人びとの関係などを研究し、昨今の多様なトピックスに焦点をあてる社会調査にも注力します。地理学専修では、地域の現地調査や資料・データ分析を通じて、地表での多様な自然と人間の関係を研究します。ドイツ語学ドイツ文学の研究会手書きのドイツ語日記から「幾何」の単語を検索してい手書きドイ語日記から「幾何」単語を検索しる文献研究用ツール「SMART-GS」文学と言語の視点に立った研究を「西洋文化学系」ではヨーロッパやアメリカの文化と社会について、主に文学と言語の視点に立った研究を行います。取り扱う時代は幅広く、古代から中世、近代や現代に至ります。但し研究対象に関わらず、その基礎は文献資料の正確な読解にあり、まずは語学力の習得に取り組みます。そうして養う高度な語学力や読解力、文学や言語文化に関する深い考察力が研究者の道を拓くことはもちろん、幅広い視野に基づく異文化理解力やコミュニケーション能力を活かし、官公庁や教育、報道、出版、流通など、多方面で活躍する卒業生も少なくありません。現代の多面的な把握に取り組む現代は、歴史上かつてなかったほど、人類が巨大な変化を経験している時代です。「基礎現代文化学系」は、さまざまな角度から、この「現代」の特質や成り立ちを考察します。科学哲学科学史専修は、現代を特徴づける科学の営みを哲学や歴史学の手法を用いて分析します。現代史学専修は、現代史は世界史であるという観点に立って、歴史学の手法により現代世界を分析します。メディア文化学専修は、おもにメディアや情報という切り口から、人文学のさまざまな手法を組み合わせながら、現代の社会や文化を考察します。12KYOTO UNIVERSITY GUIDE BOOK 2024哲学基礎文化学系歴史基礎文化学系6学系の紹介東洋文化学系行動・環境文化学系西洋文化学系基礎現代文化学系

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