京都大学 大学案内 2024
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医学部33医学部 医学科 6回生在校生加藤 嘉崇さん京都府 洛南高等学校 出身 医学の発展とともに、医師が身につけるべき知識は増えています。必要な知識を教えるだけで多くの時間がかかりますが、ただ知識を与えるだけでは学びが義務になってしまいます。医学は解剖、組織、病理、生理、薬理と螺旋を描くように知識を深めていきますが、基礎を学んだあと、さらに奥深い医学の世界に導いてくれるのは、みずからの興味・関心にほかなりません。授業で心がけているのは、学生それぞれの「好き・おもしろい」をくすぐること。たとえば昔の発見を知ってもらう授業では、医学史のなかでの位置づけ、創薬までの道のり、実験過程など、多様な切り口で、先人たちの足跡を追体験できるよう工夫します。 私が医学の深甚さにふれたのも学生時代の授業をとおしてのこと。教科書をなぞるのではなく、先生が自身の研究について熱く語る授業は、まるで未知の世界への旅に連れだしてもらった感覚でした。講義や研究室以外の場でも、先生がたはことあるごとに医学への熱意を伝えてくださいました。研究について考えこみながらキャンパスを歩いていたとき、のちにノーベル賞を受賞される本庶佑先生から「君はなにを研究しとるんや」と声をかけられました。勢いにまかせて、数分かけて説明したところ、返ってきたのは、「一般の人に1分で話して、おも先輩が教える 京都大学の魅力学問の面白さに触れ、好奇心を刺激される日々最先端の研究に触れたいと思い、京都大学を志望しました。1年次より研究室に通い始め、先生方の研究紹介や同志の友人との勉強会を通して、基礎医学に強い関心を持ちました。現在は霊長類における生殖細胞の発生機構解明を目標に、カニクイザル生殖細胞の遺伝子発現解析を行っています。幅広い分野の専門家に出会い、優秀な同級生と切磋琢磨しながら、面白いと思えることを追求できる学びの環境が京都大学の魅力だと思います。大学院の紹介大学院医学研究科医学・医療のすべてがここに。人類の未来を育む 大学院医学研究科は、医学専攻、医科学専攻、社会健康医学系専攻、人間健康科学系専攻、京都大学・マギル大学ゲノム医学国際連携専攻の5専攻からなる、全国でも屈指の規模を誇る研究科です。中でも、医学科卒業生以外が医学を研究する医科学専攻は修業年限3年の博士後期課程を有する我が国で唯一の専攻です。医学研究科の研究領域は、基礎医学、臨床医学、社会医学、医療技術学、その他、医学・医療と人の健康と福祉にかかわるすべての領域を包含しています。本医学研究科の使命は、医学・医療にかかわる領域における「知の創造」とそのたえまない「実社会への還元」によって人類の健康と福祉の向上に貢献すること、および、その牽引力となる国際的なリーダーとなるべき人材の育成です。しろいと思ってもらえることを研究せなあかん」。感じたのは、誰にでも理解できる本質的なテーマにこそ立ち向かうべきだという熱意。こうした気風は、いまも京大医学部に色濃く流れています。 医学を志す学生たちにもう一つ、知ってほしいことがあります。社会を構成する「人」は一様ではなく、みなさんが想像もしなかった環境やシステムのなかに生きる人がいます。ましてや患者さんたちは、さまざまな社会的・経済的境遇のなかで、健康に対する大きな不安を抱えておられます。そうした方がたに寄り添うには、まずは自分の世界を拡げること。私にとってその扉は「読書」。とりわけ小説は、社会における様々な立場の人が、どのように世の中を見ているのかを追体験するにはうってつけの方法です。もちろん、多様な人たちとの交流や留学もいいでしょう。殻にとどまっていてはなにも始まりません。あなたの琴線にふれるものを探す旅を始めてください。■概要 研究分野によっては大学院に進学する者もいますが、一般的には医師免許取得後、医学部附属病院あるいは研修病院において2年間の卒後臨床研修を行います。2022年度 卒業生の状況進学(大学院)1.6%■取得可能な資格 医学科の所定課程を修了し、卒業した者および卒業見込み者には、厚生労働省が実施する医師国家試験の受験資格が与えられます。*医師国家試験合格者 116名 94.3%その他9.8%臨床研修医88.6%卒業後の進路医学とは、螺旋を描くように身につけるもの。原動力は「おもしろい!」という直感医学部/大学院医学研究科柳田 素子 教授

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