九州大学 GUIDE BOOK 2024
67/90

❶❷❸1. 教育理念 我々は現在,地球温暖化や生物多様性の減少,突発性豪雨などの異常気象,地震や台風などの自然災害,新興・再興感染症の世界規模での流行,食糧問題,紛争,格差や差別など,人類を含む地球上に暮らす生き物の存在や地球環境そのものの安定,さらには人々が安心して安全に暮らすことができる条件を脅かすような様々な課題に直面しています。これらの課題に対して,IT技術や人工知能(AI)などに代表される先進的な科学技術を活用した解決策が模索されています。これらの先進的な科学技術は,我々の暮らしを豊かに便利にしてくれ,直面する課題の解決に役立つことは間違いありません。ただ一方で,進歩した科学技術そのものが我々の生存を脅かす課題になりかねないことは,福島での原子力発電所の事故や核兵器の問題からも明らかです。現在,我々が直面する課題の解決には,短期的・技術的な解決策を適用するだけではなく,多様な背景を持った人々が協力し,知恵を絞って,工夫して,長期的に取り組むことが求められているのではないでしょうか。 九州大学共創学部は人類が,そして地球環境がいま直面している様々な課題に対して,多様な背景を持った人々と協働しながら,地道にあきらめることなく,その解決を模索していくことができる人材を養成することを目的としています。答えのない課題に取り組むためには,まずは課題が解決したありうべき未来を想像し,そこに至る道筋を「構想」していかなければなりません。また,一人だけでは十分な解決策を考え出すことはできないので,他者と「協働」することが必要です。そして,課題解決のためにさまざまな人とコミュニケーションし,「経験」を積んでいくことが大事です。共創学部が掲げる「共創」とは,「構想」「協働」「経験」というプロセスを繰り返すことで,「課題に応じ自ら必要なことを学ぶ態度や志向性」を養い,「必要となる知識を組み合わせた新たな知」を創造し,それを「実社会の中で」活用していくことを意味しています。共創学部が提供するカリキュラムでの学びを通じて、これらの力を身に付け,我々が直面する諸課題を将来的に解決へと導く人材に育っていくことを期待します。2. 教育プログラム教育課程の特色・内容※出願時には,各選抜の募集要項でアドミッションポリシーをご確認ください。グローバルな課題解決に貢献できる人材を育成するために,共創学部は次のような柱からなる独自の教育プログラムを提供します。❶課題解決型のカリキュラム  地球規模の課題は一つだけの学問体系で理解し,解決することは困難です。共創学部では,複数の学問分野の知識や技能を組み合わせて問題の解決方法を考える力を身につけるために,既存の学問分野を横断・融合したり,学生がチームを組んで課題解決に取り組んだりする授業を用意し,課題の解決に必要な複数の専門分野の高度な知識や技能,考え方を養成していきます。❷国際コミュニケーション力を鍛えるカリキュラム  グローバルな課題の解決のためには国際的なコミュニケーション力が不可欠です。共創学部では,初年時に英語インテンシブコースで英語を集中的に訓練します。また日本人と留学生が共に学ぶ授業スタイルを取り入れて,日常的に留学生との交流が行われる環境をつくり,海外大学等への留学を必須とし,そのための準備教育も実施します。❸チュートリアル・システム  幅広い分野から自分に必要な授業を選択するために,入学時からチューター教員による履修指導を行います。教員との対話を通して,自分の学ぶ科目を選択し,徐々に自分の研究課題を絞っていくことができます。全学共通)国立大学法人九州大学では,本学教育憲章の理念と目的を達成するために,高等学校等における基礎的教科・科目の普遍的履修を基盤とし,大学における総合的な教養教育や専門基礎教育を受け,自ら学ぶ姿勢を身に付け,さらに進んで自ら問いを立て,創造的・批判的に吟味・検討し,他者と協働し,幅広い視野で問題解決にあたる力を持つアクティブ・ラーナーへと成長する学生を求めている。 共創学部では次の資質や能力,態度をもった学生を国内外から積極的に受け入れる。「主体的学習態度」:課題の検討や課題の将来的な解決に必要となる様々な学知や技能を主体的に探究し,身に付けようとする態度を持っている。「協働への強い意欲」:背景や考え方が異なる人と進んで協力し,共に問題の解決に取り組むことへの強い意欲を持っている。「批判的思考力」:既存の学知や自らの考えを常に批判的に検討し,その誤りを修正し,より良いものへと改善していこうとする思考態度を持っている。「国際的視野」:世界の様々な人とともにより良い未来を築くことと,そのために必要となる語学力を磨くことに対する強い意欲を持っている。◆求める学生像と学力3要素との関係知識・技能:高等学校等における基礎的教科・科目の履修を通して獲得される知識・技能。特に国際社会で生じている出来事に対する強い関心と,世界を舞台に活動することに対する強い意欲,および,これらを実現するために必要となる語学力。思考力・判断力・表現力等の能力:物事を多角的・批判的に考え,自らの考えを自分の言葉で人に伝える資質。常に自らを省み,失敗や間違いを認め、そこから学ぼうとする意欲。主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度:多様性を尊重する態度,異なる考えに共感する寛容性,他者から進んで学ぼうとする態度。世界が直面している様々な課題の将来的な解決に向けて,背景や考え方の異なる様々な人々と進んで協働する姿勢。◆入学者選抜方法との関係 共創学部では「知識を問う入試から能力を見極める入試への転換」を掲げ,志願者の能力を複数の観点から見極めるために,次に挙げる4つの方針に基づいて入学者選抜を実施する。❶  4種類の選抜試験  共創学部が求める学生像の観点から,志願者の能力や態度等を見 極めるために,「総合型選抜」「学校推薦型選抜」「一般選抜」「国際 型入試」の4種類の選抜試験を実施する。また,それぞれの入試類型 の中でも複数の観点を組み合わせ,志願者の能力・意欲・適性等を多 面的・総合的に評価する。  文理共通問題❷  一学部一学科の学部として,文理共通の試験問題を課す(留学生 に対する試験を除く)。理系クラスで学んできた志願者も,文系クラ スで学んできた志願者もどちらも解答可能な問題を用意し,いずれか が不利になることのないよう配慮する。❸  志望理由書  すべての入試類型で「志望理由書」の提出を求め,学部への理解や 適性などを確認する。3. アドミッションポリシー◆求める学生像共創学部School of Interdisciplinary Science and InnovationアドミッションポリシーAdmissions Policy

元のページ  ../index.html#67

このブックを見る