名古屋市立大学 2020 大学案内
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医学研究科長・医学部長道川 誠医学部 医学科4年加藤 千晶私立滝高等学校出身 医学部に入学すると、基礎医学といって解剖学、生理学、生化学という講義から始まり、臨床医学、社会医学、臨床実習と進みますが、その基本的な内容は、日本中のどの医学部でも大きな違いはありません。名市大医学部では、これに加え、薬学部や看護学部の学生さんと一緒に活動したり、英語での診察を学んだりする講義をはじめ、授業後の時間を使って、医学部生の時から、本格的な医学研究に携わるプログラム(MD-PhDコース)や、臨床医学や基礎医学の教室で行われている勉強会に参加することも可能です。さらには、救命処置を学ぶグループや夏山の診療所の活動を行うグループなど、教員と学生の皆さんが一緒になった自主的な活動も数多くあります。もちろん、運動部で体を鍛えたり、文化部で素養を身につけたりすることもとても大切です。このように、本人の希望と実現する意思があれば、講義以外にも、多くのことを学んでもらえる環境が整っていると思います。 名古屋市立大学医学部は、昭和18年に開校された名古屋市立女子高等医学専門学校を源流とし、昭和25年に現在の名古屋市立大学医学部として発足しました。医学部としては令和2年に開校から数えて77周年を迎え、これまでに約5,000名の卒業生を輩出してきました。これら多くの諸先輩は、患者さんに寄り添う医療を大切にされてきました。それが名市大医学部の特徴であり伝統の一つとなっています。このことは、言葉で伝えられるものでなく、学生時代の実習や卒業後の研修を通じて意識して身につけていってほしいと思います。 皆さんは、どんな医師を目指しますか。自分の夢を持ち、実現に向けて努力する人には、無限の可能性があり、名市大医学部には、それを実現する環境があると思います。私ども医学部の教員は、その可能性を最大限に引き出すお手伝いをしたいと思いお待ちしています。名古屋市立大学に入学してから、以前よりもより魅力を感じており、自分がいかに恵まれているかを実感する毎日です。自分なりに感じた3つの魅力をご紹介しようと思います。まず立地の良さです。主に2年生から川澄キャンパスに通うことになるのですが、この川澄キャンパス、交通アクセスが非常に良いです。地下鉄から歩いて数分のところにあり、何処にいても気軽に寄りやすい場所となっています。学校帰りに色んなところに寄り道ができ、大学生ライフというものの片鱗を楽しめるかもしれません。次に人との繋がりが強いということです。良く聞く話かもしれませんが、名市大は横だけでなく縦の繋がりも広いです。優しい先輩方と気が合う仲間達、初々しい後輩達。加えて、大学や学部学科に縛られることなく活動できる部活もあります。私は救命処置を学ぶMeLSCという部活に所属していますが、信頼できる友人を学校内だけでなく他大学にも作ることができました。色んな友人と、自分と違う価値観を共有することがとても楽しいです。そして最後に、他では得られない多くの機会に恵まれていることです。通常の医学学習は勿論、グループで地域や病院に向かい、チーム連携の重要性と地域への貢献を意識することができる地域参加型学習や、御献体を自らの手で解剖させていただく実習、3ヶ月研究室に配属され最新の研究に携わることができる基礎自主研修などです。かくいう私も基礎自主研修で配属された研究室では本当に楽しく学ぶことができ、研究の魅力を意識するようになりました。入学した後も更なる魅力を肌で感じることができる、そんな大学で皆さんとご一緒できるのを楽しみにしています。医学部に入って医学を学ぶなかで、一番大切なことはなんですか?何を重視していますか? 医学・医療のプロフェッショナルは、複雑で正解の知られていない、あるいは正解のない問題に対処しなければなりません。そのための医学教育では、膨大な知識の記憶に重点があるのではなく、自ら考え主体的に学んでいく姿勢が重要です。特に持てる知識や技能を応用しその場で求められる解決策を提示できる能力を養うこと、言い換えれば、One Correct ではなく、One Best を導き出す能力を養うことが最も大切と考えます。医学部のカリキュラムはどうなっていますか? より良い教育を提供するためにカリキュラムを適宜改訂しています。従いまして、若干変更が生じる可能性がありますが、1年生では知識人として、また専門家としての自己発展に必須の要素として教養科目を中心に学ぶとともに、地域参加型学習として最先端の医学研究や医療の現場を体験します。2~3年生では人体の構造と機能、調節機構、物理・化学・生物学的侵襲や薬物に対する反応、生命の本質について学び、基礎医学研究室に入る基礎自主研修も行います。3年生1月から臨床医学教育が始まり、疾患の病態、診断、治療に関する知識、診察技能、医療倫理、臨床家としての問題のとらえ方、考え方を学びます。そして4年生1月には、臨床実習として臨床現場での診療活動に参画、6年生までに学外医療機関も含めた臨床実習により、実践的能力を磨きます。入学試験で必要な科目が物理・化学なので、高校で生物を履修していないのですが、自分で勉強しておいた方がいいですか? 医学部においては、高校で学ぶ物理、化学、生物はいずれも欠かせない基礎学力です。受験科目が物理・化学となっており、生物を学修していないかと思いますが、高校での生物基礎を学んでいれば、入学後の専門教育科目を学ぶなかで十分修得が可能です。医学部生から19医学部へ進学を考えている皆さんへ 医師にどのようなイメージを持っていますか。ご家族に医師がいて具体的な姿を見ている人もいれば、テレビ番組でみるドラマ化された医師の姿を想像する人もいるでしょう。ドクターヘリに乗って重症患者を助けに行く救急医でしょうか。難しい手術をこなす心臓外科医やスーパードクターでしょうか。皆さんが直接接するのは多くの場合、病院や診療所で勤務する臨床医だと思います。しかし実は、医学部を卒業した後は、病院や診療所で働くだけでなく、非常に多彩な職種に就くこともできるのです。例えば、大学教授はもとよりノーベル賞を取るような医学研究者になったり、厚生労働省などの行政機関で働いたり、さらには、海外で活躍する医師や研究者、WHOの職員として活躍する人、NASAの宇宙飛行士やJAXAの職員として宇宙飛行士の健康をチェックする仕事などもあります。このような医学部を卒業した後の多様な進路のことも考え、名市大医学部のカリキュラムには、通り一辺倒の医学知識や技術を学ぶだけでなく、卒業後にそれぞれの進路で必要となる医療人としての素養を身につけてもらうための工夫が数多く鏤(ちりば)められています。もしかすると講義を受けているそのときには、あまり重要性に気がつかないかもしれませんが、卒業してから初めてその意味が解ってもらえるのではないかと思います。MessageQ&A

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