名古屋市立大学 2020 大学案内
33/48

33 薬学研究科は、学生がより高度な先端的知識・技能を修得し、独創的先端研究に従事することによって、自己開発型の研究者・技術者を育成することを目標としています。原則として、4年制学科を卒業した学生は、博士前期課程(2年制)・博士後期課程(3年制)へ、6年制学科を卒業した学生は、博士課程(4年制)へ進学します。 博士前期課程では、研究課題への取り組み方の指導を行い、薬学研究に必要な基礎的知識や技術、問題解決能力を身につけます。 博士後期課程では創薬や薬学の進歩につながる生命科学について、薬学の先端的な知識や技術の習得と高度な研究を行い、博士課程(4年制)では、臨床薬学、医薬品の臨床開発について、先端的な知識や技術の習得と高度な研究を行います。また、博士後期課程、博士課程では研究成果を学術論文として発表し、その過程で問題解決能力のみならず課題設定能力をも獲得することを目的としています。 本薬学研究科の修了生は主として製薬企業に研究職・開発職として就職し、我が国の医薬品産業界の発展に寄与してきました。さらに公的研究機関や大学の研究者としても活躍しています。また、医薬分業の進展と共に医薬品の適正使用にかかわる高度な知識・能力が薬剤師に求められていることに対応し、高い研究能力と専門性を有する指導的薬剤師の大学院における育成に注力しています。 なお、薬学研究科における教育・研究の一層の充実と多様化を図ることを目的として、愛知県がんセンター研究所、国立長寿医療研究センター、国立医薬品食品衛生研究所、自然科学研究機構生命創成探究センター、および医薬品医療機器総合機構との連携協定に基づき、腫瘍制御学、加齢病態制御学、医薬品質保証学、生命動態制御学、および医薬品医療機器審査科学の各分野を設置しています。薬学研究科大学院生から研究と教育内容 博士前・後期課程(創薬生命科学専攻)においては、多様化した疾患治療に対応できる最新の医薬品開発研究の知識と技術、ならびに生命科学の急速な進歩に呼応した生体分子機能解析の最先端の知識と技術を習得します。さらに、疾患原因や病態解析と医薬品の作用機序・体内動態・代謝機構の解明や薬物治療への応用を目指した基礎研究を行い、医薬品開発とその利用に関する知識・技術・応用力を総合的に身につけます。 博士後期課程(共同ナノメディシン科学専攻)は、名古屋工業大学との共同大学院で、平成25年に開設されました。この専攻では、ナノマテリアルの医薬品開発への応用等、共同大学院の特徴を活かし、薬工融合領域での最先端の知識と技術を習得します。 博士課程(医療機能薬学専攻)については、臨床薬学領域における高度な専門知識と研究能力を有する研究者および薬剤師を養成する教育と研究指導を行なっています。近年の研究から、タンパク質の品質管理機構である小胞体ストレス応答の破綻が、がんをはじめとする様々な疾患の発症や進展のリスク因子となることがわかってきました。私が所属する細胞情報学分野では、この小胞体ストレス応答に注目した新しい機序の薬の創製に取り組んでいます。大学院生活は、日頃より所属分野の内外を問わず多くの先生から実験指導や研究への意見をいただく機会に恵まれ、一筋縄ではいかないことも多い研究を推進する原動力になっています。特に本研究科にはアットホームな雰囲気があり、研究棟内や併設されている食堂などで、学生や先生方と顔を合わせることが多くあります。そのため、その場のちょっとした会話の積み重ねから、研究内容の議論へ発展することも少なくありません。こうした様々な人との刺激的なやりとりと、自分だけでは気づくことのできない多角的な観点で研究を深められる環境が、薬学研究科への進学を決める後押しになりました。本研究科の適度な規模感は、学生の成長に繋がりうる特色の一つだと思います。研究生活はときに苦しいこともありますが、疾患の治療薬開発に寄与できるよう、チャレンジ精神を持って楽しみながら今後も努力を重ねていきたいです。薬学研究科薬学研究科博士課程2年医療機能薬学専攻德川 宗成MessageGraduate School of Pharmaceutical Sciences

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る