名古屋大学 大学案内 2024
12/104

Researchers at Nagoya University「プラクティカルな研究テーマに挑み、開発のパートナーと一緒に途上国の成長を支えたい。」貧困問題を抱える開発途上国の政策評価分析や経済モデル開発に貢献11GUIDE TO NAGOYA UNIVERSITY 2024ResearcherOTCHIA Christian samen大学院国際開発研究科国際開発協力専攻 准教授PROFILE専門は経済統計、経済政策、理論経済学、地域研究。キンシャサ大学 経済学部 (コンゴ民主共和国) 卒業後、日本に渡る。名古屋大学大学院 国際開発研究科 博士課程 修了。Lawrence Klein Award(2016) 、Thomas Rutherford Award (2016)、Flash Session Winner Price(2013)受賞。開発途上国の貧困をなくすために アフリカは資源が豊富で堅調な経済成長を遂げているにも関わらず、労働者の生活は不安定であり、特にサハラ以南の地域は深刻な貧困問題を抱えています。さらに人口は2050年にはアフリカ全体で約21億人に膨らむと予測されています。このような状況を踏まえ、私は開発途上国における貧困削減を目的とし、産業政策が経済成長と構造変化との関係に与える影響や、それらを明らかにする経済モデルの開発を研究しています。また、産業連関分析、フィールド実験の手法の1つであるRCT(ランダム化比較試験)、人工知能の学習の根幹をなす機械学習・ディープラーニングなどさまざなユニークな手法を取り入れ、世界の国々の政策評価をおこなっています。ビッグデータを活用した詳細でインパクトのある分析結果に基づき、政府など関係機関へ新たな政策の提案もおこなっています。 私は、名古屋大学のアフリカ産業人材育成における技能評価「SKY」プロジェクトのメンバーとしても活動しています。その例として、エチオピアの縫製業労働者を対象に日本で生まれたカイゼン教育(5S)導入によるRCTを行ったところ、労働生産性や給与の上昇に効果が見られました。このようなボトムアップの改善モデルは、日本などアジア系企業が多数進出する東南アジアでも見られ、経済発展に貢献してきました。私は今後、東南アジアにおける産業パークの研究を進め、アフリカの産業パーク開発にも生かしていきたいと考えています。自国に貢献できる実践的プログラム 本学の大学院国際開発研究科は、留学生比率が70%、授業はほぼ100%英語です。将来自国に戻ったらすぐに役立つ実践的プログラムが組まれているため、私が日本へ来た当時から留学生に高い人気を誇ります。教員が国連など国際機関と連携して研究活動を行い、海外フィールドワークも盛ん。私のゼミでは政府で就業経験のある人やTVETを受けた政府の人もいます。自国に貢献したい気持ちが皆強く、研究へのモチベーションが高まっています。 今、世界中でCOVID-19が問題となり、途上国では今後さらに経済的問題が深刻化するでしょう。私は現代の人々が抱える問題を減らすための研究に取り組んでいきたい。肝心なのは、研究結果をシェアし、すぐ役立つようにすることです。政府と現場の課題をリンクさせ、NGO、企業、国際機関なども含めた開発パートナーと一緒に発展させていくことが大事だと考えています。オチアクリスチャン05

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る