新潟大学人文学部 CAMPUS GUIDE 2024
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人文地理学の中でも、歴史的な側面を重視しながら地理事象を考察する歴史地理学が専門です。最近は、明治期に作製された地籍図という資料を使って、歴史的な景観を精緻に復原する作業を佐渡島で行っています。また、近世会津藩が作成した『新編会津風土記』に記されている地理情報についてもGISを活用して分析を進めています。細かな作業の積み重ねですが、それらが組み上がって全体像が徐々に見えてくるのが醍醐味です。韓国の田舎をまわりながら、朝鮮王朝時代の社会について研究しています。授業では、古代の新羅・高句麗・百済から現代の韓国・北朝鮮まで、家族や村落、国際関係など様々な面から朝鮮社会の歴史的性格を追求していきます。古くから中国・日本と密接な交流関係をもちつつ、独自の世界を形成してきた朝鮮半島の歴史を学ぶことは、新たな視点から東アジアや日本について考える契機にもなることでしょう。芸能論中国近現代史人文地理学中国近世史韓国・朝鮮史江戸時代の都市や商品流通を主な研究対象にしており、地域社会の構造と変容に大きな関心を持っています。「近世」という時代は日本列島において、ウェスタン・インパクト以前の伝統的な社会が最も成熟した時代であり、その時代を探ることは、私たちの現在と未来を考えるうえでとても重要な意味を持つと考えています。授業ではしたがって、こうした近世社会を多様な角度から検討しようと心がけています。ヨーロッパ中世の文化史に関心を持ち、とくに美術作品とキリスト教文化との関係を探っています。生と死、天国と地獄、天使と悪魔、聖杯の謎など、怪しげなものにひかれ、それらがどのように表現されているのか考察中です。授業では、ロマネスクの素朴な聖母マリアさまの彫刻から、ゴシック期の大聖堂建築、ルネサンスの巨匠たちやフェルメールやレンブラント、さらに近現代の芸術家まで視野をひろげつつ、学生とともに美術史の面白さを学んでいます。個人の自由を支えるような人と人とのつながりは、どうすれば可能になるのか。それを理論研究と地域研究の両面から考えています。理論の方は、M・ヴェーバーをもとに、権力や秩序、コミュニケーションを成り立たせるメカニズムについて研究しています。地域研究では、中越地震・中越沖地震の被災者・被災コミュニティを調査して、被災地の再生や災害に強い地域社会のあり方、災害ボランティアの役割などについて考えています。日本近世史西洋中世史・西洋美術史考古学NAKAMOTO MasatoHIROKAWA SahoHORI TakehikoMURAKAMI MasakazuYAMAUCHI TamihiroHARA NaofumiHOSODA AyakoMATSUI KatsuhiroMORI Takanori13原 直史(ハラ ナオフミ)教授細田 あや子(ホソダ アヤコ)教授松井 克浩(マツイ カツヒロ)教授社会学理論・災害社会学森 貴教(モリ タカノリ)准教授専門は考古学で、朝鮮半島から日本海沿岸を主な対象地域として弥生時代とその並行期の研究をしています。稲作や鉄器の導入が当時の人々の暮らしや交流のあり方にどのような影響をもたらしたか、考察を深めています。最近は、弥生時代の終わり頃の高地性集落遺跡の発掘調査によって、『魏志』倭人伝に記された「倭国乱(わこくみだれる)」とは何かを追究しています。フィールドで、オリジナルな発見の喜びを伝えられたらと思います。中本 真人(ナカモト マサト)准教授日本の古代から中世にかけての芸能を中心に研究しています。古代から近世までの貴族たちは、和歌や書だけでなく、音楽や舞中心に芸能にも通じていることが求められていました。貴族たちの芸能は、具体的にどのようなものだったのでしょうか。また彼らは、誰から、どのような方法で芸能を学んだのでしょうか。絵画や彫刻、文学などとは異なり、過去の芸能は一切形に残りません。その形に残らない芸能について、過去の文献と現代の芸能実演の両方を調査することにより、具体的に明らかにしたいと試みています。広川 佐保(ヒロカワ サホ)准教授20世紀初頭の中国東北やモンゴル地域の歴史、そして日本とアジア関係史について研究しています。中国やモンゴル、台湾の史料館で史料を探索し、歴史の舞台を自らの足で歩くことに努めています。そうすることで史料と現在の人々の暮らしがつながり、今日的な問題を考えるきっかけにもなります。大学では近現代のアジア史関係の書籍や資料を通読していますが、教室を飛び出してフィールドを歩くことをすすめています。アジア近現代史には、まだ研究されていない分野が多く残されています。皆さんのオリジナルな研究や発見を期待しています。堀 健彦(ホリ タケヒコ)教授村上正和(ムラカミ マサカズ)准教授17世紀から19世紀にかけての中国の都市社会史・文化史を研究しています。特に伝統中国の人々が持っていた価値観や心性、社会の中で生き抜こうとしたその試行錯誤の軌跡をたどることに関心があります。授業では中国や台湾で調査した清代の文書史料のほか、絵画や小説、演劇・芸能作品も幅広く取り上げます。様々な史料に触れて自分の常識がゆらいでいく驚きと、中国について考えていく楽しさを皆さんと共有できればと思っています。山内 民博(ヤマウチ タミヒロ)教授

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