新潟大学人文学部 CAMPUS GUIDE 2024
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「ことばは文化の乗り物、心の鏡」であると言われます。英語ということばには英語話者の文化や発想が映し出されます。授業では、英語に特有の仕組みを観察しながら、英語話者の生き生きとした感覚や発想、異文化と自文化の価値の多様性、そして人間の心の働きとことばの仕組みの結びつきを探求します。また、応用言語学的見地から、言語理論と英語教育との接点についても考えます。最新の言語学や英語教育の研究成果を、わかりやすく、深く、面白く皆さんに伝えることを心がけています。『失われた時を求めて』の作者として知られるマルセル・プルーストの研究をしています。プルーストが作品中で「風景」をどう描写しているかというテーマに取り組んでいるうちに、「風景」とはそもそも何か、という問題に関心が広がっていきました。授業では、「風景」を表現する手段である「文学」、「庭園」、「建築」、「絵画」、以上4つの領域をめぐって、皆さんと意見交換できることを期待しています。英語学英語学中国文学日本中古文学フランス文学古代から近世に至る日本語の実態と変遷を「なま」の言語資料を用いて解明します。同じ「古典」でも、活字と古写本とでは知り得る情報に大きな違いがあります。読みやすさを手にする一方で、私たちは古典との断絶にも向き合っているのです。「なま」の資料の一字一字を辿ることは、過去の〈今・ここ〉、即ち音韻・表記・語彙・文法が当時の書き手達の「息づかい」と共にあった状況をリアルに追体験することにほかならないと私は考えています。研究対象は言語です。言語は物ではないので、実際に手にとって調べるわけにはいきません。人間の言語活動を観察する必要があります。人間が意思を相手に伝える際、言語が手段になります。物理的には音声が用いられます。音声が対話者の耳に入り意味として理解されたときにはじめて、伝達が成立します。発した瞬間に消えてしまう音声と、客観的に捉える事が難しい意味。ある種つかみどころのない音声と意味を、なんとか科学的に解明しようするのが言語学です。言語は我々にとって身近すぎる存在ですが、ふだん意識されないその構造には驚くべき緻密さが見られるのです。現代ロシアの詩、芸術、音楽が主な研究対象です。どのジャンルも密接に関連しており、日々新たな表現が生まれています。多彩な作品や表現を追う毎日は刺激に満ちていて、決してあきることはありません。どんなにつらいことがあっても酒とジョークで笑いとばし、芸術にどっぷり浸り、人生を最大限に楽しむのがロシア流なのです。哲学的な文学や難解な現代芸術作品から心躍るジャズやロックまで、幅広くロシア文化に関する授業を行っています。明治時代以降の日本近現代文学を対象として、同時代の思潮や風俗との関係を研究しています。例えば、明治時代の夏目漱石『三四郎』を読むと、主人公の大学生活は今と変わらないように思えます。一方で、その恋愛や世の中に対する考え方は、今と少し異なるようです。過去の文学には、現代に通じる面と、その時代特有の価値観を反映した面があります。共感しながらも、その時代特有の思潮や風俗を知ることで、文学の読解をより深めることができます。古代日本語論言語学・言語類型論英語学ドイツ文学日本近現代文学AKI Takamichi ICHIHASHI TakamichiOTAKE YoshioKOJIMA AkikoTAKAHASHI SanaeTSUMORI KeiichiISOGAI JunichiEBATA FuyukiKITADA ShinichiSUZUKI MasamiTANABE KeikoNAGANUMA Mitsuhiko18磯貝 淳一(イソガイ ジュンイチ)教授江畑 冬生(エバタ フユキ)教授北田 伸一(キタダ シンイチ)准教授生成文法理論という理論的枠組みに基づいて統語論の研究をしています。具体的には、英語や日本語などの個別言語の間に観察される変異や、同じ英語であってもイギリス英語とアメリカ英語の間に変異が観察されますが、これらの変異がどのような仕組みによって生じているのかに興味をもって研究をしています。また、こうした言語間変異の仕組みから抽出される普遍的な言語一般の特性の解明にも関心を持って研究をしています。鈴木 正美(スズキ マサミ)教授ロシア文学・ロシア文化田邉 恵子(タナベ ケイコ)准教授戦間期ドイツで多彩な執筆活動を展開した文筆家ヴァルター・ベンヤミンの作品が専門です。とくに彼の亡命期の思想に着目して研究を進めています。さらに最近はベンヤミンから出発して、「故郷」「過去の思い出」「子ども」といったキーワードのもとで19世紀〜20世紀のドイツ文学・思想を考察しています。過去の言説を読み解くことは、現在や未来を思考するために自分独自のまなざしを得ることにつながります。 新たな出会いに溢れるドイツ文学の世界を一緒に探検しましょう!長沼 光彦(ナガヌマ ミツヒコ)教授秋 孝道(アキ タカミチ)准教授理論言語学(生成文法理論)に基づいて、英語の文・句の構造に関する仕組み(統語論)や、英語の文・句の意味に関する仕組み(意味論)を解明する研究を行っています。また、英語と日本語の構造・意味の比較研究も行っています。しっかりした言語理論を想定して言語の研究を進めて行くと、「予測された事実が実際に存在する」ことを体験できることがあります。この「発見の興奮」を体験させてあげたいと思います。市橋 孝道(イチハシ タカミチ)准教授イギリス文学・イギリス文化19世紀中頃に活躍したイギリスの文豪サッカレーとディケンズの作品を中心に、ヴィクトリア朝時代の文化全般についての研究も進めています。二人の作家は大英帝国の繁栄を様々な角度から描いており、類似点もあれば興味深い相違点も多く見受けられます。近代文明の基礎が築かれていく時代に創作された彼らの作品には、そうした社会や文化に対する人間の詳細な心理を読み取ることができ、現代の私たちにも通じる部分があります。大竹 芳夫(オオタケ ヨシオ)教授小島 明子(コジマ アキコ)准教授中国清末の文学と周辺の文化背景に興味をもち、特に王国維の詩・詞・文学論と『教育世界』という雑誌について研究しています。授業では中高では学ばない中国文学に着眼し、研究する上で基礎となる資料を、古典を中心に幅広く選定し、精読を行い、読解力を養う訓練を行っています。しかし、授業は一つのきっかけにすぎません。大学での学問はここから始まります。これを機にたくさんの作品に触れ、自ら世界を広げていってください。高橋 早苗(タカハシ サナエ)准教授平安時代に創り出された『源氏物語』や『夜の寝覚』などを中心に、王朝物語の世界について日々考えています。「豪華絢爛」といった言葉が付与されがちな王朝物語ですが、その華やかなイメージとは裏腹に、多くの作品に「憂愁の思い」が深く織り込まれているところに心惹かれます。授業では、上記以外の作品も取り扱います。テキストの表現一つ一つを吟味したうえで、各人それぞれの「読み」を提示してもらいたいと思っています。津森 圭一(ツモリ ケイイチ)教授

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