新潟大学人文学部 CAMPUS GUIDE 2024
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 「心理学」という言葉を聞いて、皆さんはどんなことをイメージしますか? カウンセリングとか心のケア、でしょうか? 例に挙げたような分野は心理学の中の一つのサブフィールドに過ぎません。私たちが日常的に何気なく行っている「見る」「聞く」に代表される知覚や、物事を思考、記憶、感情を抱くことなど、ありとあらゆる事象が心理学で研究される対象です。 人は太古の昔から「心」に興味を持っていました。遡れば、ソクラテスやプラトン、アリストテレス、デカルトなど古代ギリシャの哲学者たちが、心はどこにあるのか、どんな機能を持っているのかを考えていたのです。科学としての心理学が誕生したのは1800年代後半のことです。近代の心理学では、人の観察可能な反応・行動(キーを押す、アンケートに回答する、など)から、心理現象(知覚や思考、記憶、感情など)を推測することで、わたしたちの心はどのような働きをしているのか、人間とは何かという大きな問いに挑んでいます。私たちが用いているのは、実験を用いた自然科学的な手法です。実験によって得られた数値を、統計を使って解釈、理解していきます。 人の心の成り立ちを調べるために、おとなの人以外を対象に研究することもあります。例えば、人の赤ちゃんを対象とした研究です。自分の周りの世界を見たり、聞いたり、感じたりする心の働きは、生まれてまもなくの赤ちゃんもおとなと同じなのでしょうか?誰しもが赤ちゃん時代を過ごしていますが、その頃の記憶はなく、どのような世界を見ていたのかを知る人はいません。しかし、写真のように、色々な画像を実験で見せ赤ちゃんの行動(注視する時間など)を計測することで、赤ちゃんの心の機能や発達を調べることができます。 このように、心理学はさまざまな手法を用いて、人の心の解明に挑んでいます。ぜひ皆さんもその一員になってもらえたら嬉しく思います。 哲学の出発点は、「問うこと」です。次に、「応える」ことです。そして「新たに再び問い」、それをやめないことです。自問自答もありなのですが、ここではわたしから、哲学に関心のある方へ、次の問いを投げかけてみたいと思います。哲学に特に関心のない方でも、暇な時間があれば考えてみてください(暇は哲学の切実な条件なのです)。Q. すべての学問の名称のなかで、「哲学」だけが異色の名付け方になっています。他の学問は、「〇〇学」の〇〇部分で研究対象を明確に表しているのに(例:生物学)、なぜ哲学だけが謎めいた名称になっているのでしょうか?哲学は「役に立つ」と思いますか?「役に立たない」と思いますか?その理由をどう説明しますか?人文学の「人文」とは何を意味していると思いますか?「幸福とは何か」を卒業論文のテーマに掲げていた哲学専攻の学生が、いつのまにか「無」の研究をしていました。なぜだと思いますか?ニーチェはなぜ人気なのでしょう?もし、死刑になったソクラテスが「あの世」から哲学の現在をみているとしたら、どんなことを言うと想像しますか?「知行合一」という言葉がありますが、哲学者の場合、思考と行動は合致させるべきでしょうか?哲学は何歳からできると思いますか?日本の大学で「哲学」というと、西洋哲学が主流になっているのはなぜなのでしょうか?(豆知識ですが新潟大学人文学部にはかつて東洋哲学の研究室もありました。)「哲学者」とは何者なのでしょうか?「哲学は難しい」「哲学書は難しい」と言われることがありますが、「難しさ」の原因を挙げるなら何があると思いますか?哲学を研究するのに語学が必要なのは、なぜでしょうか?高校までの授業に出てくる哲学と、大学の哲学とではどんな違いがあると思いますか?Q. Q. Q. Q. Q. Q. Q. Q. Q. Q. Q. Q. KOBAYASHI MegumiABE Fukuko06小林 恵准教授 阿部 ふく子准教授

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