大阪市立大学 工学部 2018
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今までにない良さを見つけ、既存のものに新しい価値を見出す 人がその場所にいて「心地いい」と感じるのは、建築物の美しさや空間の快適性だけに由来するわけではありません。例えば、室内のインテリアや窓から見える景色であったり、建築物を含む都市環境であったり、さまざまなものが影響しています。そして、どれだけ技術が進歩しても、その“心地よさの感じ方”というものは、昔から変わらなかったりします。つまり古い建築物や、さまざまな地域の環境に着目することで、「どういうものを造ればいいのか」という目的に関するヒントが見えてくるわけです。その観点から、過去やさまざまな地域について考察し、得られたものを未来の建築につなげようというのが建築史の考え方です。 有名な建築物だけが対象になるわけではありません。例えば、ある学生は町の銭湯を取り上げ、「コンビ二型銭湯」というジャンルを自ら考案し、現代の地域コミュニティの場として着目しました。このように評価基準を変え、既存のものに新しい価値を見出せるのも建築史の面白いところです。最高のフィールドワークの場となる生きた歴史がつまった大阪の街 本学がある大阪市は、生きた歴史がつまっている街です。例えば、江戸時代から船場の商人の守り神だった北御堂は今も公共の場として賑わっていますし、北浜・中之島界隈には現在も使われている明治から昭和初期に建てられたレトロな建築物があり、もちろん市内には最新の技術が用いられたビルなどもたくさん存在します。今に息づく伝統や歴史が生活圏に多数存在し、それが現代の都市と融合している全国的にも珍しい地域でCLOSE-UPFIELDS OF STUDY過去の建築物から「心地よさ」の理由を学び、得られた知見を未来につなげていく。あり、フィールドワークでそれらを目にし、体感することが、これからの建築を考えていく上での大きなヒントになるでしょう。フィールドと文献を行き来しながら、新たな価値を発見し、位置づけていくのが建築史の醍醐味です。身近なところに“大阪の街”という生きた教室があることが本研究室の有利なところだと思います。注目の研究INTERVIEW倉方 俊輔准教授建築史20

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