西原 理(にしはら みち) 2003年京都大学理学部卒業、05年同大学院情報学研究科修士課程修了。08年博士(情報学)。大阪大学金融・保険教育研究センター特任助教(常勤)、同経済学研究科講師を経て、12年より現職。「ダイナミックコーポレートファイナンスの研究」で2018年度大阪大学賞(若手教員部門)を受賞。 従来、企業の事業評価はNPV(ネットプレゼントバリュー)法というモデルに基づいて行われてきました。これは「プロジェクトが生み出す将来の収益から、事業遂行にかかるコストを引き算し、得られる利益を現在の価値に換算する」というプロジェクト評価手法です。 「簡単に言うと、例えば10年後の利益1億円が現在のいくらに当たるのかを割り出し、そのプロジェクトの価値がどれくらいかを計算します。そのうえで、このプロジェクトは大きい価値が出そうだから実行しようとか、収益とコストの差がマイナスだからやめましょう、などと決めていく。このNPV法は、事業の採算性を評価する一番基本的な方法です」。 しかし、このNPV法には不十分なところがあると言われるようになったのです。それは、将来のさまざまな可能性を考えに入れられないということです。 「将来のことには、いろいろと不確実な要素があります。例えPROFILEリアル・オプション法でプロジェクト価値を動学的に算出 西原准教授の研究対象は、企業の投資。企業はプロジェクトを選んで事業を行い、そこから収益を得ています。その際、「さまざまなプロジェクトに対してどう投資するべきか、また、一つひとつのプロジェクトにはどれくらいの価値があるか」を評価していきます。西原准教授の研究は、従来のモデルでは捉えきれなかった、将来の不確実性を加味できる新しいタイプのモデルによって評価を行っている点に特色があります。変化に即した企業価値をダイナミックに導く~不確実性を加味した数式モデルづくり~経済学研究科 准教授 西原 理4大阪大学の研究 ~知を拓く人、新たな探求と挑戦~
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