大阪大学 GUIDEBOOK 2022
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したりするような嘲笑文学の類もあり、当時の風潮や人びとの考え方の一端を教えてくれます」。詩歌の内容の変化をとらえて社会史的にアプローチすることで、当時の人びとの心性、考え方を理解したいと考えています。 一方、トルコ現代文学に関しては、トルコ語が「列強言語でない言語」である点こそが重要だと考えています。「文学作品は言語、文化に根ざします。何でも英語で済むかというと、そうではない。母語としている人がいる限り、その言語・文化を知らないと理解できないことがある。国際共通語としての英語の一強時代を迎え、翻訳速度も格段に上昇した21世紀、非列強言語の未来は暗中模索。だからこそ、民族や国家の在り方と歩みを共にするトルコの文学を見つめることは、第三世界における言語と文化の行く末そのものを見極めることにもつながるのです」。 1960年代の末頃から欧米のモダニズム小説がトルコでも翻訳され、広く読まれるようになりました。若い頃の読書体験は、小説家の作風に大きく影響します。「80年代にデビューした作家の小説からは、それまでの『民族性』が減りました。最近では欧州文学の『飛び地』であろうとするのさえやめて、世界文学の作家になろうと志す人も少なくありません」。また、最近は娯楽性が高まり、純文学と大衆文学の境目が曖昧になってきていると指摘します。宮下准教授が翻訳を手がけるオルハン・パムクは、そうした新しい世代を代表する作家の一人。ノーベル文学賞を受賞して、欧米での知名度が上がりました。「現代の日本人が普通に読んでも、面白い作家です」。今後は「本当に価値のある現代作品を厳選して紹介していきたい」と語ります。テロや内戦の問題を扱った作品の翻訳も考えており、古典研究ではオスマン帝国の詩人列伝の出版を構想しています。文学作品を言語・文化から理解する変化するトルコ文学トルコ土産のカップとソーサーのセットトルコで買ったお守りと宮下准教授が翻訳した小説宮下准教授にとってとは一人でもいいので100年後に図書館の隅で参照してくれる人が出るような翻訳や研究を残したいとは思います。研究に大切なのは、誠実であること。テキストに真摯に向き合うこと。自分に都合の良い解釈をしないことを心がけています。大阪大学の最先端の研究をWebでもご覧いただけます。研究特集教育システムインフォメーション大阪大学の研究3キャンパスライフ

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