ドイツにおける通貨法制度に関する研究書。外国の理論動向等も重要な研究課題。制度は永続的なものではないんだと実感しました」。 最初の研究テーマは、「お金の仕組みを変える必要が生じたときに、誰がどうやって変えるのか」。「国際法上の紛争の場面で、各国に通貨権があるなどと言われるようになったが、国内法の関係では、根拠がどこにあるのかわからなかったのです」。 欧米での貨幣に関する歴史との比較など研究の結果、「国家には、お金とは何かを決定する権限、つまり通貨の仕組みや単位、価値を決める権限はあるが、それを超えたお金自体を生み出す権限(発行や製造)までを独占しているとは言えない」という結論に至りました。 現在は、中央銀行制度を憲法の側面から研究しています。現代の管理通貨制度の下では、お金の制度がしっかりしているということを担保するために、独立した中央銀行の存在が重要になります。1980年代から、中央銀行の役割が世界的に認識されました。そのなかで重視されたのが、中央銀行の独立性です。これを憲法体系のなかにどのように位置づけるか、そのような中央銀行をどのようにコントロールするかは、世界中で議論され始めています。 もうひとつの研究テーマは財政。本来、財政とは「税金を取ってそれを公共の目的のために使うこと」と片桐准教授は指摘します。「しかし現実には、財政赤字を出すことで、かろうじて行政サービスが維持され、社会が回っています。このような財政赤字に対しては、金融市場が出すメッセージが重要なシグナルになるはずです。しかし、現状、中央銀行が国債を大規模に購入していることもあって、そのシグナルは弱まっています。このように、中央銀行のあり方は財政のあり方とも密接にかかわっています。憲法学は、こういう現代の財政運営の姿を十分にとらえてきませんでした。そうすると、その領域で権力が悪いことをしても、それをチェックすることも、指弾することもできません。そこで、今の憲法の下で、こういう事態がなぜ発生するのかを解き明かし、それにパッチを当てるというのが当面の課題であり、憲法学の役割のひとつだと考えています」。「憲法は、より良い統治を実現するための道具。どう使われているか、その機能や有効性を考え、使い方を磨くことが重要です」。中央銀行制度、財政を憲法学的に研究片桐准教授にとってとは憲法学とは、物理学のようなものかもしれません。ニュートンが自然現象のなかから運動の法則を見出したように、世の中のさまざまな事象が動いていくなかで、それがどのようなルールの下で生起しているかを探ること、そのなかで動かないもの、また動かしてはいけないものを特定すること、動かすことができるものはどのように動かすかを考えること、結局、憲法学もこういうことを考えているように思います。結果としてより良い世の中になったなと言えるとうれしいです。大阪大学の最先端の研究をWebでもご覧いただけます。研究特集教育システムインフォメーション5大阪大学の研究キャンパスライフ
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