富山県立大学 大学案内 2026
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酵素化学工学講座生物有機化学講座微生物工学講座応用生物プロセス学講座 酵素などの生体触媒を用いる物質変換法は温和な条件下で行われ、環境に優しく持続可能な社会形成に役立ちます。私達は新たな生体触媒を見つけ出し、その機能を有効に利用し、環境調和型の物質生産プロセスを開発することを目標としています。この目標の達成のために、有機合成した化合物を用いた独自のスクリーニングによる新規生体触媒の探索、クライオ電子顕微鏡解析やX線結晶構造解析による酵素立体構造の決定、分子進化工学や合理的設計に基づく酵素改変、酵素法と化学合成法の融合による有用物質生産など、実践的な研究を進めています。エポキシド不斉開環反応を触媒する植物由来有機分子触媒の発見クリーンベンチ操作海洋微生物の採集生物工学科 生物(バイオ)プロセスは、酵素や微生物等を用いる有用物質生産技術のことであり、「CO2排出量ゼロ」の社会を実現するための鍵となる技術分野です。本講座では、熱水環境に生息する超好熱菌に高い水素生産能力があることを見出し、本菌を用いた非可食性バイオマスから水素生産プロセスの開発を進めています。また医薬品や機能性素材の合成に向け、高度なタンパク質工学技術の開発と利用により、機能改良型や新規機能を示すタンパク質の創出を進めると共に、これらのタンパク質を効率よく生産する技術について開発しています。また、各種光学活性アルコールやエポキシドの合成を担う酵素遺伝子を微生物やメタゲノムから取得し、さらには取得した遺伝子の発現宿主として有機溶媒耐性菌を用いることで、従来よりも高効率な生物プロセスの開発を進めています。 ペニシリンをはじめとするさまざまな医薬品が微生物の培養により生産され、私たちの健康維持に役立てられています。微生物工学講座では、自然界からカビや放線菌などの微生物を分離、収集し、それらを培養したときに生産される物質の中から、医薬や農薬に役立つ活性物質を探索しています。特に近年は、これまで蓄積してきた経験と技術を生かして、抗生物質や抗癌剤など医薬開発のシーズとなる新規化合物の発見を目的に、これまで研究がなされていない未利用微生物種や新種微生物、例えば海洋微生物、好熱性バクテリア、超希少放線菌などの微生物からの新規有用物質探索に注力しています。 本講座では、有機合成化学と計算化学を基盤技術とした、生物活性物質の合成と設計に関する研究を行っています。天然に存在する重要な生物活性を有する有機化合物(天然物)を研究対象として設定し、効率的な分子構築法の開発と構造・配座活性相関による機能解析、合理的な分子設計により、医農薬品のシーズとなる有用分子の創製を目指します。さらに、地球温暖化防止のため、再生産可能な資源である木質バイオマス(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)の成分分離法の開発や有用物質への変換を目指した研究も行っています。33

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