SAIDAI CONCIERGE vol.26
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Welcome to my laboratory本当に人に役に立つロボットはどう振舞うべきなのか? 人とコンピュータの関わり合いをデザインし、それを実現するシステムを構築することが研究テーマになります。具体的には、カメラやセンサを使って人の行動を計測する技術やそこから得たデータを人の役に立つように活用するシステムの開発を行っています。 現在、注力している研究の1つが、人の動きに合わせて移動するロボットの開発。例えば、自律的に走行する介護用の車いすロボットは、車いすに乗る人と並んで歩く人が自然に会話できるような位置取りや動きを判断して動きます。つまり、単に移動するだけではなく、乗る人が心地よく移動するために、ロボットはどう動くべきかということにフォーカスしています。 研究では、実際に現場に赴くことを大切にしています。車いすロボットの場合は介護施設でしたが、やはり実際に利用する人のことをしっかり見ないと本当に役に立つものは作れません。現場で実験を繰り返しながら、利用者の要望や課題を明らかにし、それらを1つずつ解決していくのです。研究成果が社会に与えるインパクトは未知数 私たちの研究分野では、ロボットは飽くまでセンシング技術などの基礎技術を人の役に立つ形にするためのデバイスの1つ。ロボット以外にも様々なシステムの提案を行っています。 今後の目標としては、場の空気が読める機械を作りたいですね。例えば、急いでいそうな人や気が短そうな人を理解するなど、場の雰囲気を読み、配膳の順番などを考え、その場にいる人すべてが気持ちのよくなるウエイターロボットなど——。 そのような雰囲気をセンシングする技術や知能を組み込んで、人が一緒にいて本当に心地よいロボットや機械を作っていきたいと考えています。工学部 情報システム工学科/小林研究室人と機械の心地よい関係を実現するヒューマンコンピュータインタラクション自分が好きなことと強みを自覚して 学生たちには、将来、自分が本当に好きなことや得意分野に関係する仕事に就くことを目標にして、最終的には自分だからこそできるやり方で仕事に携わって欲しいと思います。そのためには、何もすべてにおいて完璧を目指す必要はありません。例えば、国語は70点、算数は40点、理科は90点という凸凹があってもOK。その凸凹を個性として自覚し、どう生かすかを考えることが重要なのです。また、どんな分野でも同じだと思いますが、研究に失敗は付き物。私のゼミで学ぶなら、是非、失敗を恐れない、チャレンジ精神を持ってください。研究に必要不可欠な文理融合がしやすい 文系と理系の学部が同じキャンパスにあるので、文理の先生の距離が近く、コラボレーションしやすいのが埼玉大学の大きなメリット。特に、私の研究では、人とロボット・機械の関係性を分析する上で、社会学の知見が必要不可欠なので、このような環境にあることは本当にありがたい限りです。 また、学生にとっては、教員数に対して学生数が比較的少ないので、教員と学生の距離が近いことが、埼玉大学工学部で学ぶ最大のメリットではないでしょうか? それ故、丁寧かつ親身な指導が受けられると思います。message小林准教授より受験生へ▲スーパーマーケットでの実証実験が進む「自律移動買物カート」。高齢者向けの買物リハビリを行う際の介護者の人材不足解消のために開発を進めているProfile小林 貴訓[こばやし よしのり]理工学研究科 准教授2000年 電気通信大学大学院情報システム学研究科 修士課程修了2000-2004年 三菱電機株式会社2007年 東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了2007年 埼玉大学大学院理工学研究科助教2014年より現職※2018年4月より情報システム工学科は「情報工学科」に改組予定9SAIDAI CONCIERGE

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