SAIDAI CONCIERGE vol.26
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Welcome to my laboratory経済学部 メジャー:国際ビジネスと社会発展/内田研究室フィールドワークで課題や魅力を発見都市の持続可能性の向上につなげるまち歩きで課題発見能力を養う 学生には、課題を考え、それを解くための方法を自分で考えられる人になって欲しいですね。このようなスキルは、将来、どのような仕事に就くにしても必要不可欠ですが、自ら仮説を立てて、それを検証していくということを、まち歩きを題材に培ってもらえればと思います。 また、この研究には、人や物事を観察する心をもつことが求められます。これから私のゼミに入ろうという学生は、普段からできるだけ数多くの本を読んで想像力を養い、多世代の人とのコミュニケーションを図ってください。埼玉には日本の都市問題が詰まっている 都市をテーマにしたこの研究を、埼玉大学で行うメリットは、埼玉県というフィールドで活動しやすいことがまず挙げられます。埼玉県は日本で最も市の数が多く、都市の課題も多岐にわたっています。 つまり、埼玉県は日本の縮図のようであると言えます。その地元の大学であることは、立地だけでなく、地域の人達の協力も得やすいといったアドバンテージがあります。 このことは私のような研究者にとっても、まちづくりを学ぶ学生にとっても魅力的なことは言うまでもありません。message内田准教授より受験生へ多様な人の意見が渦巻く都市の実態を分析 ゼミで扱うテーマを、一言で言うと「まちづくり」です。それは住んでいる人が愛着を持てて、外から訪れる人も魅力を感じることができる都市を作るためには何をすればよいのか?——ということです。まちづくりを考える上で、必要なのは「都市は多様な主体の共存によって形成されていること」の理解です。まちには、様々な人がいて、それぞれが意見をもっています。みんなが魅力的だと思えるまちを作るためには、それぞれの意見を聞いた上で、物事を考える必要があるのです。とは言え、すべての意見を許容するまちを作るのは不可能です。そこで、地域の人の話を聞いたり、説明して納得してもらうという、まちづくりに至るまでのプロセス自体が重要になります。 つまり、この研究では、都市の実態を空間・景観・コミュニティ・地域資源・商業・再開発・移動手段など様々な視点から分析していきますが、地域の人々とどのようにコミュニケーションを図っていくかということも重要なテーマの1つなのです。現地を歩き、人と接することで各都市の魅力を深堀りしていく 地域の人とのコミュニケーションと同様、都市の調査・分析で私が大切にしているのが、実際にまちを歩くこと。 私は現在、大宮駅東口のまちづくりに携わっていますが、例えば、この地域の課題として、人がたまれる場所がもっと必要だということがあります。今後、そういった公共空間をいかに設けるかということを考えていきますが、このような課題は、実際にまちを歩かないと気付くことができません。 ゼミの演習でもまち歩きを行いますが、そこで学生は地域の方にインタビューしたりして、人々が過ごす場所や動きなどを観察します。そこからそれぞれの空間の意味や役割、まちの魅力や課題を見つけ、まちづくりの可能性を考察していくのです。 まちづくりは、結果が出るまでに20〜40年という長い時間がかかります。最終的にまちが良い方向に変化し、そこに少しでも我々の取り組みが貢献できればよいと考えながら研究に取り組んでいます。Profile内田 奈芳美[うちだ なおみ]人文社会科学研究科 准教授1997年 早稲田大学理工学部卒業2004年 ワシントン大学アーバンデザインアンド プランニング学科修士課程修了2006年 早稲田大学理工学研究科博士課程修了2014年より現職6SAIDAI CONCIERGE

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