SAIDAI CONCIERGE vol.28
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“課題解決型”インターンシップ&プログラム参加のススメチームで企業の課題を解決せよ!自主的な学びを意味する「アクティブ・ラーニング」。これを実現する学習方法の1つとして注目されるのが「問題解決型学習」です。埼玉大学では「課題解決型科目」として実施していますが、今回はその目的やメリットについて、基盤教育研究センターの石阪督規教授に語っていただきました。Profile石阪 督規[いしざか とくのり]基盤教育研究センター教授1996年広島大学大学院社会科学研究科国際社会論専攻博士前期課程修了2000年 広島大学大学院社会科学研究科国際社会論専攻博士後期単位取得満期退学2000年三重大学人文学部講師2002年三重大学人文学部准教授2012年東京未来大学モチベーション行動科学部准教授2015年東京未来大学モチベーション行動科学部教授2016年より現職 「課題解決型科目」では、学生たちは地域や企業の課題に対して、具体的な解決策を提示していきますが、そのプロセスを通じて、「問題解決へのアプローチ方法を身につける」ことが期待できます。このようなスキルは、目標を達成するには必要不可欠。つまりこの科目は社会で生きていくためのキャリア教育の一環だといえるでしょう。「課題解決型科目」には、学生が県内企業で仕事をしながらその企業が抱える経営課題を解決する「課題解決型長期インターンシップ」と、学生自らが地域の課題を発見し、解決策を考察していく「課題解決型プログラム」があります。さらに埼玉大学の学生は、埼玉県が実施する「埼玉県課題解決型インターンシップ」にも参加可能。これは課題を抱える県内企業、数十社の中からインターンシップ先を選択でき、本校が事業委託を受けているものです。 昨年の「課題型インターンシップ」は、JR東日本大宮支社と実施しましたが、JR東日本側から提示された課題は、「埼京線沿線エリアの活性化策について具体案を提示せよ」というものでした。この課題に対し、学生たちはグループワークを行い、グループごとに解決策を発表。高架下に植物工場を設置し、そこで獲れた野菜を隣接するレストランで提供するというアイデアなどが提案されました。 「課題解決型プログラム」では、企業と一緒に地域課題を解決するためのプロセスを勉強していきます。今年のテーマは本学のある浦和の街。フィールドワークを通じて研究を進め、その成果を「アトレ浦和」が発行する広報誌「U La La」で発表するという活動を行っています。これまで、地域の子育て支援制度や東京オリンピックを2年後に控えた現在の多言語への対応など、様々な課題に関する研究成果を記事にしてきました。 学生が「課題解決型科目」を受講するメリットには、コミュニケーションや協働を通じて、「視野が広がり、社会や仕事、自分の将来の働き方への関心を高められること」が挙げられます。さらに課題を解決するプロセスの中で「生きる力」「人とかかわる力」「人に伝える力」を獲得できることも見逃せないポイントです。実際、受講生の成長は目を見張るものがあり、自己理解、自己研鑽を実現するには理想的な内容だと言えるでしょう。 また企業・地域にもメリットがあるのは「課題解決型科目」の特徴です。学生が提案するアイデアが課題解決の糸口になるのはもちろん、若い学生の自由な発想に触れることで、組織を活性化することにもつながる可能性があるのです。このことはイノベーションをなかなか起こせないという企業が数多い中で、非常に意義のあることだと考えられます。興味や都合に合わせて選択できる幅広いラインアップ学生、地域、企業——それぞれのメリットとは?今年3月に開催された「埼玉県課題解決型インターンシップ」の発表会の様子「課題解決型プログラム」の活動の成果を発表した「U La La」の1ページ基盤教育研究センター石阪督規教授 10SAIDAI CONCIERGE

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