SAIDAI CONCIERGE vol.28
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Welcome to my laboratory経済学部 メジャー:経営イノベーション/宇田川研究室企業を衰退させるイノベーションの欠如を組織変革により、解消する自分が面白いと思ったことを守り続ける ビル・ゲイツのようなイノベーションを起こした起業家たちは、自分が面白いと思ったものを守り切って、それを形にした人たち。ですので学生には自分が面白いと思うことや心に引っかかったことを見逃さず、守り続ける力を身につけて欲しいです。また「経営戦略」ということでいうと戦略の本質は「孫子」にあるように「戦わずして勝つこと」。たとえ社会的、個人的に何か困難があっても、その中だからこそ、我々が知恵をフル活用してそれにどう挑み、目的を達成するのかが問われているのだと思います。そういうことを学んで欲しいですね。自分を高められる環境が整う学びの場 学びに対してきちんとした意識を持つ学生が集まっていることが、埼玉大学で学ぶ魅力の1つだと思います。そんな優秀な人たちが集まるグループやネットワークに属することは必ず人生にプラスになります。ぜひ、このような環境で学び、自分を高めて、企業に使われる“人材”ではなく、自分が周りの人を生かせるような人になってください。研究者として感じる埼玉大学の魅力は、学問の場としてリベラルな文化が醸成されている点ですね。上下関係なく、若い研究者でも遠慮せず、自由に研究ができるのは素晴らしいことだと思います。message宇田川准教授より受験生へイノベーションが企業にとって必要な理由 企業の持続的な成長にはイノベーションが必要です。 イノベーションとは、技術革新や新たな価値の提供などを指しますが、なぜ必要なのかというと、どのような製品やサービスも時が経てば必ず衰退するからです。しかし、80年代以降、日本企業はほとんどイノベーションを起こせていないのが現状です。 私が現在取り組んでいる研究テーマは「イノベーションを生み出す組織はどうやって作れるか?」ということですが、日本企業がイノベーションを起こせない要因には組織的な問題があると考えています。イノベーションを推進する取り組みは、成功する保証がないため、企業活動にとっては合理的な理由がありません。それ故、社内にイノベーションにつながるアイデアがあっても淘汰されてしまいがち。そこで企業内にはイノベーションの芽を守る仕組みが必要なのですが、日本企業にはそれがありません。また、イノベーションに必要不可欠な「やりたい」という気持ちの源泉となる「働くことへの意欲」を持つ人が少ないのもイノベーションが起こりにくい理由ですが、これも日本企業独特の旧態依然とした組織に起因するのです。イノベーションが生まれるのは“対話”のある組織!? これらの課題の解決に、有効だと考えているのが、“対話”によって組織の課題を解決する“ナラティヴ・アプローチ”という方法論です。ただし、ここでいう“対話”は単に話し合うということではなく、相手のことをよく知り、自らの視点を改めながら相手との関係を作っていくということで、それができれば、たとえ反対があっても互いの視点の接点を見つけて取り組みを進めることが可能になります。また“対話”によって社内のコミュニケーションが変われば、仕事に対する社員のやりがいも向上していくのです。研究の目標は、この方法論を用いて、効果的な実践を生み出すこと。そのために企業でワークショップを実施し、効果検証するなどの取り組みを行っています。Profile宇田川 元一[うだがわ もとかず]経済学部准教授2000年立教大学経済学部卒業2002年立教大学大学院経済学研究科博士前期課程修了2006年明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得2006年早稲田大学アジア太平洋研究センター助手2007年長崎大学経済学部講師2008年長崎大学経済学部准教授2010年西南学院大学商学部准教授2016年より現職6SAIDAI CONCIERGE

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