SAIDAI CONCIERGE vol.28
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Welcome to my laboratory▲『SHINJIN もりのかみさま』2018年 赤坂9丁目公園。高須賀教授の作品の1つa:埼玉大学モニュメント「地ニノゾミ知ヲマトウ」(高須賀教授制作) b:埼玉大学シンボルマーク(高須賀教授デザイン) c:病院壁画(学生デザイン・制作) d:サイタマくらし(産官学事業)※d〜f:学生デザイン e:埼玉大学マスコットキャラクター「メリンちゃん」 f:埼玉サッカー100周年シンボル g:EVカー(産官学事業、デザイン)cdfegab生きるために必要不可欠な創造性を育てるために 芸術の専門家に限らず、私たちがより良く生きていくためには、世の中に溢れるデザインを正当に評価する能力が求められます。また、何か事を成し遂げようとする際には、物事を生み出す力——創造性が欠かせません。学校教育において「美術」という科目を学ぶ意義は、子どもたちがそのような素養を培うことに他ならないのです。 教育学部の芸術講座の目的は、美術教師を養成することですが、子どもたちに創造性をいかに身につけさせるかを学ぶ必要があります。その前提には教師自らがその力を持たなければなりません。そこで、私のゼミに所属する学生は、「美術」の意義を改めて考えるとともに、自身の創造性を磨くために、各々が感性をはたらかせてデザインやアートの制作活動を行います。芸術家としての仕事と教員養成という仕事 私の専門分野は「環境芸術」で、主に公共空間における美術やデザインのはたらきについての研究、作品制作を行っています。この分野は、比較的新しく生まれた概念で、ファインアートや建築、デザインなど、用いられる表現やジャンルの幅が広いことも特徴です。これまで私が制作した作品だけでも、公園の遊具や街中のモニュメント、レリーフなど、作品のモチーフやテーマは多岐に渡ります。 環境芸術家としての活動は、教員養成という仕事とかけ離れていると思われるかもしれません。しかし、必ずしもそうではありません。「環境芸術」は、環境や場所、そしてそこにいる人のことを考えながら作品を制作していきます。つまり作家には「その環境から何を感じ取れるか?」という感性が問われるのです。一方、教員という仕事は、子どもたちの反応や考えを捉える鋭敏な感性が求められます。 それ故、芸術家としての経験の中から、教師を目指す学生に伝えるべきことがあると考えているのです。教育学部 芸術講座/高須賀研究室学校教育における美術の意義について作品制作を行いながら理解を深めるProfile高須賀 昌志[たかすか まさし]教育学部教授1990年東京藝術大学美術学部卒業1992年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了1999年埼玉大学教育学部助教授2007年埼玉大学教育学部准教授2011年より現職2014年より環境芸術学会会長人間には個性があることを身をもって知る 大学で美術を学ぶ意義の1つに、人間の多様性を理解できることが挙げられます。同じ世代の学生が同じテーマを与えられて制作した作品が、こうも違うんだということを実感できるのです。このような経験を通じて身につく「物事を多面的にみるスキル」は、教職に就いた時に必ず役に立つでしょう。子どもが30人いれば、30通りの答えがあるということを念頭に指導にあたる教員になってもらいたいと願っています。また、これから私のゼミで学ぼうという人は、「自ら楽しいことをやりたい」という主体的な気持ちを持って研究に臨んで欲しいですね。創作にも勉強にも適した環境が魅力 埼玉大学の魅力は、あくせくせず、どことなくのんびりした雰囲気に包まれていること。それでいて、東京との距離も程よく、世の中の流行や風から隔絶されている訳ではないのも良いところです。学生時代を有意義に過ごす場所としては非常に恵まれた環境だと思います。大学構内は落ち着いていて緑も多いですし、創作を行うにも、勉強をするにもうってつけです。私の創作活動にも少なからず良い影響を与えてくれています。 また、これは教育学部ならではですが、芸術だけでなく、様々な教科の先生方や仲間と交流できるのも大きな魅力です。message高須賀教授より受験生へ7SAIDAI CONCIERGE

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