SAIDAI CONCIERGE vol.27
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インスタグラムの活用が若者の消費行動を促す? 埼玉大学では、学生が県知事に政策提言を行う「知事と学生の意見交換会」を2010年から毎年開催しています。 11月8日(水)に実施された2017年度の意見交換会には、経済学部と工学部から5つのゼミが参加。地方分権や子育て支援に関する施策が提案されました。 そして、この中で県が採用したのが、経済学部の今泉飛鳥講師ゼミの学生5名が発表した「インスタグラム×若者×県産農林産物」というアイデア。大学生が運営する写真共有サービス「インスタグラム」を活用して、埼玉県の農林産物をPRしようとするもので、提案メンバーの1人である浅見琴音さんは、施策の狙いについて、こう語ります。「私達が学生を対象に行ったアンケートからも、県が行っていた調査からも、若者が農林産物に興味がないという傾向が見られたため、若者に馴染み深いSNSサービスを活用することで、埼玉県産の農林産物に対する若者の興味を喚起し、消費につなげようと考えました」 知事への発表では「例えば『インスタグラム』の画面を表示し、操作ボタンを押すと画面が切り替わるなど―馴染みのない方にも『インスタグラム』が、どのようなものか分かるように、プレゼンテーション資料を工夫しました」(メンバーの宮本真理子さん)とのこと。この点についてメンバーの内田 怜さんは「自分たちに当たり前のものを説明するのは、意外と結構難しいということに気付かされましたが、苦労したおかげで『インスタグラム』をご存知なかった知事にも興味を持っていただくことができました」と振り返ります。政策提言&プロジェクト運用から学べたたくさんのこと そして、埼玉県は「意見交換会」直後に、このアイデアを実行に移すことを決定。それからひと月余りが過ぎた昨年12月21日(木)、埼玉県産農林産物を紹介する県公式インスタグラム「埼玉わっしょい」が開設されました。 また、プロジェクトの実施に当たり、政策提言を行ったメンバー5名を「埼玉わっしょい大使」に任命。情報発信は彼らの手で行われることになりました。 これまで埼玉県産の農林産物を扱う飲食店や直売所の情報や料理写真などを投稿してきましたが、開設以来、閲覧数やフォロワー数は順調に増加してきたようです。 学生たちに、今回の取り組みで得られたことを訊ねると「相手にどう伝えるかを考え、分かりやすく伝えるスキルが身に付きました」(浅見さん)、「県の方と市民の方が求めていることのギャップを埋め合わせることができないと施策は実現できないということに気付けました」(宮本さん)、「これまで気にとめていなかった埼玉県の農産物の魅力に気付けた経験から、当たり前の存在でも視点を変えれば発見があることが実感できました」(内田さん)と答えてくれました。 以上のようなスキルや意識は、社会に出て仕事を行う際にも必要となるものです。今回の経験が学生達にとって有意義なものになったのは間違いないでしょう。埼玉県公式インスタグラム「埼玉わっしょい」(https://www.instagram.com/saitama_wassyoi/)トップページ学生のアイデアを採用してスタートした県公式インスタグラム「埼玉わっしょい」人気SNSを活用して埼玉県産農林産物を若者にアピール!昨年末、埼玉県の農林産物の魅力をPRするために「埼玉わっしょい」という県公式インスタグラムが開設されました。若者に人気の写真共有サービスを活用したPR施策として、注目を集めていますが、実は埼玉大学の学生が知事に行った政策提言からスタートしたプロジェクトなのです。経済学部 メジャー:経済分析4年浅見 琴音さん (写真中央/栃木県立矢板東高等学校出身)宮本 真理子さん (写真左/和歌山県立桐蔭高等学校出身)内田 怜さん (写真右/千葉県 志学館高等部出身)県庁で行われた「埼玉わっしょい大使」任命式後に、投稿したインスタグラムの写真を上田知事に見せる学生たち10SAIDAI CONCIERGE

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