SAIDAI CONCIERGE vol.27
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2018年3月27日(火)、埼玉大学は平成29年度の大学卒業式(会場:大宮ソニックシティ)において、第1回目となる「梶田隆章賞」の表彰を実施しました。ここでは表彰に先だって行われた受賞者のインタビューの模様をお伝えします。第1回「梶田隆章賞」は理学部数学科卒業の赤羽裕太さんが受賞―「梶田隆章賞」の受賞、おめでとうございます。まずは受賞の感想をお聞かせください。赤羽さん(以下、敬称略) ありがとうございます。このような賞をいただいて、驚きもありますが、大変光栄に思っています。以前、大学で開催された梶田先生の講演を聞いたことがありますが、その時に、ご自分の探求心に素直に従って、研究に取り組む先生の姿勢に大変感銘を受けました。今後、大学院で研究を続けますが、そのような先生の名に恥じないよう研究に務め、成果を出していきたいと思っています。―取り組んでいる研究内容を教えてください。赤羽 大学では、代数幾何学を勉強してきましたが、その中で現在私が取り組んでいるのは代数群というテーマです。群というのは、足し算や掛け算などを抽象化した演算が定義された集合のことで、これを構造として持つ代数多様体という図形の研究を行っています。―なぜ、この研究を選んだのでしょうか?赤羽 元々数学をやるのなら、代数学を学ぼうと考えていましたが、代数群を選んだのはゼミの先生(渡邉 究助教)からすすめられたのがきっかけです。研究の面白さはもちろん、日本では代数群について、専門的に研究する方がそれほど多くなく、人と違うことができることにも惹かれました。代数群の研究は、最初は抽象的で分かり難いのですが、進めていく過程でだんだん具体的になっていくところがあります。そんなところが研究を行う魅力ですね。―大学生活を振り返って思うことは?赤羽 大学生活は、サークルなどには入らず、比較的、勉強一筋の生活を送ってきました。また、勉強については、学ぶ分野を選り好みしなかったことが、結果として正解だったと考えています。代数学以外にも解析学や幾何学などを学んだことで身に付いた「数学全体を俯瞰する視点」が、現在、研究を行う上で役に立っているからです。―今後の目標について教えてください。赤羽 今後は、大学院に進み、現在在籍する渡邉研究室で研究を続けていきます。大学院に進もうと決めたのは、大学で気付かされた定理の証明や新しいことを発見する楽しさや感動をもっと味わいたかったからです。また、大学だと研究の範囲が限られているので、いま自分が行っている研究を突き詰めたい気持ちもありました。大学院では、研究に割ける時間も増えると思いますので、自分が面白いと思うものを1つでも多く発見していきたいですね。平成29年度 理学部数学科卒業赤羽 裕太 さん埼玉県立大宮高等学校出身梶田隆章賞とは? 埼玉大学理学部物理学科の卒業生で、2015年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章先生の栄誉を称えて、平成29年度に設立された表彰制度。次世代の若手研究者の育成を目的として、毎年度、学業において優秀な成績を収め、かつ高い研究者への志を持つ大学院に進学予定の卒業生1名を表彰します。昨年度は理学部数学科を卒業し、埼玉大学理工学研究科に進学する赤羽裕太さんが受賞しました。山口学長からクリスタル製の盾を受け取る赤羽さん。この他、副賞として奨学金5万円が授与されました目指せ! 次世代の若手研究者11SAIDAI CONCIERGE

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