SAIDAI CONCIERGE vol.27
15/16

埼玉大学フェロー 2010年、埼玉大学はフェロー制度を設けました。埼玉大学に学び、各界で優れた業績を挙げた方に対して、フェローの称号を授与し讃えるものです。 その年、5人の方々に授与しています。作家で数々の文学賞を受賞し紫綬褒章を受章した池澤夏樹氏(1965理学部入学)、クレディセゾン社長で日本経済の発展に尽力した林野宏氏(1965文理学部卒)、バルセロナ五輪女子柔道銀メダリストで世界の女子柔道の発展に貢献した溝口紀子氏(1994教育学部卒)、元在ガボン共和国大使で国際社会の外交業務に貢献した加藤基氏(1969教養学部卒)、Suica開発者で社会生活の利便性向上に貢献した椎橋章雄氏(1976理工学部卒)の5人です。 その後、間は開いたのですが、とても嬉しいことに、私が学長に就任してから、世界で、日本で、大変高い評価を得た3人の卒業生が続き、それぞれに埼玉大学フェローの称号を受けて頂きました。梶田隆章氏 : 2015年ノーベル賞受賞学理学部を1981年に卒業し、東京大学大学院に進学しました。お話を伺った際、「本当に物理学の研究を志したのは大学院生の時。幸運なことに、良い師、仲間、研究プロジェクトに出会いました。」と語っています。彼の「出会い」には観測データとの出会いも含まれます。観測データと計算値とのずれに気付き、その解明に専念してニュートリノ質量の発見につなげたとのこと。そして、こう続けます。「広く目と心を開いて、大切なものに出会ったときのための準備をして下さい。例えば、勉強です。」小松和彦氏 : 2016年文化功労者顕彰 一人目は、2015年ノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章先生。彼は埼玉大埼玉大学・ノーベル賞受賞記念講演会での梶田先生 二人目は、2016年11月に妖怪研究の業績で文化功労者に選ばれた小松和彦先生。1970年、埼玉大学教養学部のご卒業です。在学中に文化人類学に出会い、埼玉県両神村でのキツネつきなどに関する調査をきっかけとして研究者の道を歩んでいます。埼玉大学での講演の際、「研究はつらくても、同時に楽しい謎解き。勉強するとき、まずは楽しむことを一番の柱にして頑張って下さい。」そして、「埼玉大学に来なかったら今の研究はしていなかったかも知れません。チャ埼玉大学フェロー称号授与記念講演会での小松先生埼玉大学学長応接室にて懇談する根岸先生ンスを見つけて自分の道を切り開き、活躍してほしい。」と語っています。根岸右司氏 : 2017年日本芸術院会員 三人目は、雪景色の油彩で著名な洋画家の根岸右司先生で、2017年末に権威のある日本芸術院に推挙されてその会員になられました。彼は埼玉大学教育学部の1961 年卒業生で、在学中に生涯の師となる渡邉武夫先生に出会い、県立浦和高校などの美術の先生をやりつつ画家として活躍され、現在は日展の理事もお務めです。埼玉大学にお招きし、学長応接室にて懇談した際に渡邉先生の指導を振り返られ、「よくここまで人の絵に本気になれると感心しました。とても怖かったですが、有難かった。」と語っています。因みに私は浦高時代に美術部でしたが、根岸先生とはすれ違いでした。埼玉大学は2019年に創立70周年 70周年のキャッチフレーズは「つなげよう未来へ」。あらゆる立場の人をつなぐ架け橋であることが埼玉大学の魅力。ここに示した卒業生と現役学生もつながっています。このことを大切に、埼玉大学はこれからも歴史をつなぎます。14SAIDAI CONCIERGE

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る