SAIDAI CONCIERGE vol.27
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Welcome to my laboratory教養学部 グローバル・ガバナンス専修/サムレト研究室統計分析を通じて、経済学の視点から発展途上国の社会的課題を解決する積極性が英語力をアップさせる ゼミに参加する学生は、開発経済学の理論を学ぶと共に、現地調査の進め方なども学びます。その一環として私が調査を実施しているカンボジアの農村に同行して、村民にインタビュー調査を行う機会も設けています。 演習では、英語の文献も使いますし、留学生を含めて英語でディスカッションを行うこともあるので、学生には英語を使って積極的にコミュニケーションをとる姿勢を持ってもらいたいですね。たとえ上手ではなくても、そのような姿勢でゼミに臨めば、必ず英語は上達すると思いますので―。多様な教員と留学生がグローバル人材を育てる 埼玉大学の教養学部には、様々な国籍の先生がいらっしゃいます。研究の分野も異なる、そのような先生方と接することで、自分の視野を広げられるのは、この大学で研究をするメリットの1つ。多様性のある環境が、研究の質を高めるのに非常に役立っていると感じます。また、開発経済学を学ぶ上では、異なる文化を理解する意識を持つことが重要です。それ故、学生にとっては、教員の多様性に加え、留学生の存在も意義深いと思います。グローバル時代に活躍できる人材になるためにも、このような環境で勉強した経験は大きな糧になるのではないでしょうか?messageサムレト准教授より受験生へカンボジアの農村地域の家計から見えること 発展途上国における貧困や格差といった社会経済の諸問題を経済学の理論を用いて考察する「開発経済学」が私の専門としている研究分野です。 この研究では、論文や資料の分析の他、現地調査が欠かせません。 いくら似たような視点で書かれた論文や資料をあたっても、国や地域によって差異がありますし、どうしても現実とのタイムラグが生じてしまいます。ですので、対象地域に足を運んで、実際に自分の目で確かめたり、調査を行う必要があるのです。そこで、現在、母国であるカンボジアを中心に実証分析を行っています。 調査内容は、カンボジアの農村の貧困世帯の家計に関するものです。約60の世帯に協力してもらい、1年間毎日の収支を記録してもらい、集計。お金の使い方から行動パターンを明らかにし、貧困の構造を解き明かすのです。 例えば、この調査から貧困世帯の大半で高金利の借入れをしていることが分かりましたが、このような事実によって公的金融機関による農村地域へのマイクロファイナンス(小規模金融)の必要性が示唆されます。今後は対象地域を広げ普遍性のある理論を追究 将来的にはこのような調査を、カンボジアだけでなく、他の東南アジア諸国にも拡大し、国ごとの比較分析などを行うことで、さらに有益な情報を得ていきたいと考えています。 現地調査は、現地当局や地域の有力者などと調整しながら進めつつ、得られる情報にバイアスがかからないように細かい注意を払いながらコミュニケーションをとらなければいけないなど、独特の難しさがあります。 しかし、調査が大変だからこそ、分析結果から自分の仮説の整合性が実証されれば大きな喜びを感じることができるのです。ProfileSamreth Sovannroeun[サムレト ソワンルン]教養学部 准教授2003年 大阪大学経済学部卒業2009年 京都大学経済学研究科博士課程修了2011年 埼玉大学教養学部講師2013年より現職カンボジアで実施した農村調査での1シーン5SAIDAI CONCIERGE

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