埼玉大学 経済学部 2018
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現在、日本企業は厳しい状況に直面しています。理由の1つは、グローバル化の進展によって競争環境が変化したことにあります。強みを活かした変革を行うべく、企業は必死に模索を続けていますが、何を変え、何を変えるべきではないのかの見極めは、実は大変難しいのです。この難しさは、勝てないサッカーチームをどう変えるかという例を考えると理解しやすいと思います。攻撃的フォーメーションにすべき、守りを強化すべき、戦略を一新すべきなど様々な方法が考えられます。しかし今のチームの強みや個々の能力を活かさなければ勝利は期待できません。チームの特徴を活かした新たな変革が必要なのです。企業経営も同じです。日本企業が直面している環境を客観的に分析し、変革を実行する能力が求められています。私が担当する日本経営史では、過去に日本企業が直面した様々な経営環境の変化に対し、どのように挑戦していったのかを具体的に検討します。厳しい環境に直面している現在を、ピンチではなくチャンスととらえ、その中で主体的な変革を担っていくための能力を一緒に身につけていきましょう。企業が社会を変えていく法律学の思考で問題を解決する:経営イノベーションメジャー:法と公共政策メジャー少子高齢化、グローバル化、IT化など社会秩序の変動が叫ばれて久しいですが、知的な誠実さを少しでも持つ人であれば、我こそはこの難問に正解を導き出した、とは言わないでしょう。ところで、法律学と聞くと、法律の条文をスラスラと暗誦すること、法律を杓子定規に振りかざすことを連想するのではないでしょうか。法律家とは、弱者の権利を盾にして自分の正義を押し付けてくる人、ルールの裏をかいて悪事を手助けする人、と思う人もいるでしょう。けれども、それは法律学や法律家の本当の姿とは決していえません。例えば「他人をだました人に刑罰を科す」との規則があるとします。第一に、「他人をだました人」が現れればこの規則の出番ですが、彼が「他人をだました」かどうか、正しく決めなければなりません。第二に、「他人をだました人」であっても刑罰を科すべきでない、この規則は廃止せよと異議を唱える人もいるかもしれません。それぞれ①規則の解釈と適用、②規則の制定や改廃の問題とも言えますが、この二つの場面で、法律家が中心となって正しい決定をしよう、というのです。実は法律学とは、人々が話し合って正しい決定をするための学問です。議論するとき、相手を思いやらなくては単なる口喧嘩に、決定するとき、他人の意見を良く聞かなくては唯の独裁になってしまいます。理性的に議論し協力的に決定できる人こそが、真の法律家なのです。正解のない現代社会の難問に挑戦するとき、この法律学の態度以上に適切なものはありません。日本の将来を導き、世界の運命を担う若いみなさんにこそ、果敢にチャレンジする資格と特権があります。それには、哲学、神学、医学とならびヨーロッパ中世以来の伝統をもつ、法律学という思考の根本に立ち帰ることこそ役立つはずです。行政法三宅 雄彦 教授日本経営史大石 直樹 准教授 Law and Public PolicyThe Major “Business Innovation” 8

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