滋賀医科大学 大学案内 2024
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│在│学│生│の│声│一般社団法人 日本医学教育評価機構 Japan Accreditation Council for Medical Education巻頭言「医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂」小西 靖彦[一般社団法人日本医学教育学会理事長]Ⅰ.コアカリの改訂の基本方針 次に示すとおりである。コアカリ改訂に向けた基本方針令和5年3月 発行 医学教育モデル・コア・カリキュラム(以下、コアカリと略する)は、2001年に初版が著され、その後5、6年ごとに改訂が行われている。初版の編纂は「医学における教育プログラム研究・開発事業委員会」によってなされた。東京医科歯科大学を中心とした関東の数大学が手弁当で作成し「パソコンの威力」についてあとがきに記載されているところが興味深い。以降、文部科学省の委託を受けた調査研究協力者が中心となって改訂が続けられてきた。初版から続けられてきた構造は、一般目標と到達目標の記載であり、初版からすでに「量的に過剰となったきらい」があると作成者自身が述べている。一部で共用試験の学修目標の羅列という表現もなされてきた面があった。 平成28年度の第4回改訂では「医師として求められる資質と能力」が記載され、卒後との整合がとられた。臨床推論と診療参加型臨床実習の充実が図られ、当時進められていたJACMEの基準にある「行動科学・社会科学」はこの版から記載された流れがある。 今回、5回目の改訂を日本医学教育学会が受託することになった。医学教育の人材育成を行っている日本医学教育学会は、さまざまな医学教育の部門に関わっている。今改訂の調査研究の任を得たことは学会として大きな名誉であるとともに、理論と実践の両面から大きな責任を負うこととなった。令和2年の終わりから作業を開始し、令和5年1月に第5版を公表した。これまでのコアカリと比較して大きな改訂となっている。改訂の中では、厚生労働省(卒後研修)、全国医学部長病院長会議、それぞれの医育機関、CATO、日本医師会等、そしてJACMEとの対話を常に行ってきた。改訂コアカリの概要についてお伝えできることを喜びとするとともに、改めて関係各位のご協力に感謝したい。1.20年後以降の社会も想定した資質・能力の改訂2.アウトカム基盤型教育のさらなる展開  (学修目標の再編成と方略・評価の整理)3.医師養成をめぐる制度改正等との整合性の担保に向けた方策の検討(国家試験、共用試験の公的化と医学生の医業の法的位置付けを踏まえたシームレスな参加型臨床実習の推進、国際標準への対応等)4.コアカリのスリム化の徹底と読み手や利用方法を想定した電子化5.研究者育成の視点の充実6.根拠に基づいたコアカリ内容7.歯学・薬学教育コアカリとの一部共通化1.20年後以降の社会も想定した資質・能力の改訂◦「医師として求められる資質・能力(以下、「資質・能力」と省略する)は、生涯にわたり研鑽して獲得する、医療人としての資質・能力と位置づけて、将来の医師像を明確に示し、第1章に記載した。◦改訂コアカリが適用された学生が卒業し、一人前の医師として活動するころの2040年に求められる、患者の心理及び社会文化的背景や家族・地域社会との関係性を踏まえることのできる「総合的な」能力の重要性を考慮するとともに、20年先の情報・科学技術の進歩を踏まえ、人工知能(AI)などを含めた科学技術を適正に活用して医療と医学研究を行っていく能力を追加した。目 次巻頭言「医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂」��P.1特集1「医学教育分野別評価とCC-EPOC」��������������������P.4TOPICS「「WFMEATTHEASIANACCREDITATIONAGENCIESFORUM2023」に奈良信雄常勤理事と吉岡俊正国際関係委員会委員長が参加しました。」����������P.7JACMEからお知らせ��������������������������������������������������������������P.8JACME Newsletter No.12 ── 112JACME Newsletter No. 12 本学附属病院の初期研修では、5つの研修プログラム(標準型総合研修コース、周産母子研修コース、1年目協力型病院研修コース、基礎研究医プログラム、地域医療重点プログラム)から選択することができます。 全診療科に教育医長を配置し、200名近い指導医や多くの後期研修医が在籍するなど充実したサポート体制が整っています。医師臨床教育センターには、8名(内女性3名)の医師を配置し、チューター制度も取り入れているため、研修指導から個人的な悩みまで相談することが可能です。 さらに、出産や育児による時短勤務や当直の制限などの配慮もあり、女性研修医の占める割合が多いのも特徴です。PICK UP! 本学附属病院は、毎年多数の専門研修プログラム加入者があり、常勤医師の半分以上が専門医であるため、各診療科で屋根瓦研修が実現できています。また、18領域でのプログラムを用意していますが、各診療科がそれぞれ長い歴史を持ち、県の医療に深く携わっており、連携病院には同じ医局で学んだ医師がいるため、一貫した教育方針の下で研修を受けることができます。 さらに、本学附属病院は県内種々のセンター機能及び中核病院の指定を受けており、がん治療からアレルギー疾患、難病まで多くの分野で力を発揮していますので、経験できる症例が多く、優れた研修環境を提供できます。VOICE 2010年9月に、アメリカの外国人医師卒後教育委員会(ECFMG)から、「2023年以降、国際基準に基づいて認定された医学部以外の卒業者には米国で医師になる資格を与えない」と通告を受けたことに起因して、我が国でも、世界医学教育連盟(WFME)から認証を受けた日本医学教育評価機構(JACME)による、各大学医学部の医学教育の質に対する評価が行われています。 本学は、2017年(平成29年)度にJACMEによる医学教育分野別評価を受審し、本学の医学教育が国際基準に適合していることが認定されました。われわれ教職員は本学における医学教育の更なる質向上のため、その継続的改良に向けて日々努力しています。 臨床実習は、五感を使って座学の知識を体験する場です。例えば、外来で予診を取る実習では、問診の重要性や難しさに気づくとともに、知識がなければ、診察も診断も満足にできないことを痛感します。手術室では、ときに手術に参加し、縫合などの処置をさせて頂くこともあります。実習から本番は始まっています。自身がやる気を出せば、それに応えて熱心にご指導くださる先生方もたくさんおられ、初期研修に臨める、また、研修以降にも土台となる知識と技術を身につけることができます。そしてそのために、低学年のうちに理系一般教養や基礎医学をしっかり学んでください。医学科 第6学年 長 直美大阪府立北千里高等学校出身卒後研修について本学の医学教育の国際基準への適合の認定について初期研修後期研修自分次第でどこまでも充実した時間が過ごせます

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