本学附属図書館では、“STEAM教育”支援に向けて、2020年度から教養関係図書・雑誌の充実を図っています。初年度は、学部学生全員を対象に購入希望のアンケートを実施し、芸術学分野を中心に約300冊を購入しました。専門領域としての生命科学分野と併せて、全分野の図書をバランスよく購入し、“STEAM教育”支援を目指しています。 また、定期的に附属図書館内で開催している図書展示企画では、学生協働企画としての「世界の教養」(海外の大学における教養図書の展示)や「ビジネス本・思考力本」「情報・AI・プログラミング」等のテーマを取り上げており、様々な分野に興味を持ってもらえるよう取り組んでいます。https://www.shiga-med.ac.jp/library/about/exhibition.html 「医療情報学」は、本学の特徴とも言える系統講義のひとつで、全国の医学部で必ず開講されるものではありません。新たに開講した「データサイエンス・AI入門」とともに、情報化が加速する近い将来、医学研究者を含む医療人となられる皆さんが、医学・医療と掛け合わす「何か」を得るためのヒントにしてもらうため、従来の基礎医学や臨床医学のカテゴリーには収まらない医学領域を扱います。主には電子カルテ、医療IT(情報技術)、個人情報保護等の医療情報学分野のほかに、コンピュータグラフィックス、in silico、人工知能(AI)などを含む生体医工学分野、そして医療ITをもとにした起業等の現状を学んでいただきます。とくに昨今ではAIに注目が集まるところですが、この系統講義でも機械学習、ディープラーニング、医療言語処理、生成AI、識別AI等の基礎から医療応用まで、そして既存の医学・医療への外挿性や医療AIが抱える倫理的問題等を含め、近未来の医療人に求められる目を養っていただきます。講義内容は、時代とともに毎年変化しますので、ぜひ楽しみにしていてください。121) 文部科学省中央教育審議会(2021).「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申) 本学では、生命科学の技術革新によって大きく発展した医学・医療・看護学領域の課題を幅広い視点から探求できる人材を養成することを目指して、“STEAM教育”に力を入れています。 近年、AIやIoTなど急速な技術の進展により社会が激しく変化し、多様な課題が生じています。このような時代においては、一つの学問領域にとらわれることなく様々な分野を横断して考え、多様な情報を活用しながら統合し、課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結びつけていく能力が求められています1)。 それらの能力を身につけることができるよう、医学科では、物理学・化学などの基礎科学科目や歴史学・文学・人文地理学など多様な教養科目を学ぶことができるように教育課程を編成しています。 また、医学・医療の分野においても、ビッグデータの利活用、バイオインフォマティクス、画像診断、病理診断など、数理・データサイエンス・AIの理論・技術が応用されるようになってきました。これらの新たな技術の理論的背景を理解し、活用できる医療人を育成するため、「情報科学」や「データサイエンス・AI入門」、「医療情報学」等の科目から構成される「医療人育成を目指した数理・データサイエンス・AI教育プログラム」を用意しています。PICK UP!教員からのメッセージ 「医療人育成を目指した数理・データサイエンス・AI教育プログラム」は、数理・データサイエンス・AI領域の新しい医療技術の創出に寄与できる人材の育成を目指した本学独自のプログラムであり、内閣府・文部科学省・経済産業省の3府省が連携した「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」に認定されています。展示の様子と美術部の学生が作成したポスター情報総合センター 教授 芦原 貴司(滋賀医科大学医学部医学科 平成7年度卒業)進化する図書館STEAM教育-これからの時代を生き抜く力を育む-STEAM
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