滋賀大学 令和6年度(2024年度)入学者選抜要項
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−64−②経営専攻 経営学は主として企業が直面する多様な課題を様々な角度から解決することを目指す学問です。たとえば,経営者と労働者の関係,企業,株主,消費者間の関係やそれぞれの行動形態,企業と地域社会との関係,企業を取り巻く国内・国際政治,経済,文化,宗教,自然環境などが企業に与える影響など企業は絶えず様々な問題に取り組まなければなりません。 このような課題に一定の方法的考察を加え,体系化をはかるのが経営学の重要な目的なのです。そして,そこから得られた知識の蓄積を基に,企業目的を達成するために,組織,経営戦略,従業員を積極的に仕事に向かわせる誘因,消費者満足の充足などについての理論構築を目指すことが経営学に課された課題と考えられます。 企業経営にとって,もう1つ重要なものがあります。それは「お金の流れ」です。経営専攻では「お金の流れ」すなわち,会計学についても理論的・実践的に学びます。会計学の学習では,家計,企業,学校,病院,官庁などさまざまな組織で行われる財産と成果(または収支)の記録・計算,その結果の報告,解釈の方法などを学ぶことを目的とします。このうち,経営専攻ではまず企業の経営管理者や会計専門職になるために役立つ「企業会計」を中心に学びます。企業会計においては経営状態を貨幣単位を用いて体系的,かつ計数的に表します。概念論に終始することなく,より実践に役立つ理論や分析力を身に付けること,例えば,実際の原価データや財務データを用いた分析手法について学ぶことも可能です。 通常,会計学は財務会計と管理会計に分類されます。企業外部の利害関係者である株主,債権者,投資者,税務当局などに対して財産状況や成果を報告するのが「財務会計」です。これに対し,経営管理者が戦略を策定したり,新製品開発,海外進出の計画を立てたり,事後的に業績を評価し管理するために役立つ会計情報システムを構築するのが「管理会計」です。 さらに,企業が用いる資金については外部から調達する必要があります。その手段として株式発行,社債発行,銀行借入など様々な手段がありますが,どのように割り当てれば調達費用とリスク管理の観点から最適となるかを考える必要があります。この問題を解くことができるようになるには,経営戦略や財務諸表などを総合的に学ぶことが必要になります。 経営専攻では,多様な学問を体系的に身に付けることができるようにカリキュラムが組まれています。経営学および会計学の基礎理論を修得した後,経営戦略や経営施策,会計の仕組みや特徴,資金調達の方法やリスク管理などビジネスの世界で成功するために必要な知識や考え方を修得し,新たな問題に直面した場合の問題解決能力を身に付けることができます。 ③社会システム専攻 経済現象は,経済分野のなかで経済問題としてだけ生じるのではなく,社会の他の分野とも深い関連を持っており,問題の性格によっては,経済に関連する様々な知識が不可欠になります。社会システム専攻は,経済学部の中にありながら,経済そのものというよりも経済と他分野との「関係」に関する研究・教育を行っています。したがって,経済・社会・法・政治を学ぶ社会科学,言語や歴史文化を学ぶ人文科学,認知・情報の科学など,幅広い分野を対象としています。これら複数の学問分野に触れることで,それぞれの分野での高度な専門知識と,その土台となる教養を修得します。同時に社会の構造や関係のシステマティックな理解を通じて,現代社会の様々な出来事を総合的に読み解くための応用力を養っていきます。 社会システム専攻は,主に次の4つの分野をそれぞれ専門としている教員が担当しています。 〔社会システム分野〕 社会,政治,行政,国際関係,環境,社会心理等々の分野におけるさまざまなアクターの行動やその全体構造に焦点を当て,現代社会を読み解くための基礎理論を学びます。 〔法システム分野〕 国内外の経済活動,社会活動や雇用,租税といったさまざまな関係を規律する社会のしくみの法的な見方,考え方を学びます。 〔思考情報システム分野〕 経済や社会を構成する基本単位である人間の「知」のあり方について多角的に学びます。ひとの「心・技・体」の研究が中心となっています。 〔国際文化システム分野〕 世界の中の様々な地域・社会について言語・文化や歴史の観点から学びます。

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