TechTech~テクテク~No.26
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学院で原子レベルの材料研究に打ち込み、東工大大学した電機メーカーでは就職した子部品の量産化などを担当。電子その後「経営」に興味を持ち、そコンサルティング会社に転職した宮宗孝光さん。理系出身のコンサルタントとして活躍する、現在までの歩みを聞きました。みやそう・たかみつ宮宗 孝光株式会社ドリームインキュベータ 執行役員を創る、先輩がいる。“今” 電気系に興味を持ったのは、電子部品の商社を経営する父の影響です。小学生の頃から秋葉原に連れて行かれ、流行し始めたパソコンでプログラムを組んでいました。成績は中学校まで中くらいでしたが、塾に通い始めたのをきっかけに一念発起。海城高校に入学しました。でも、それが苦労の始まりでもありましたね(笑)。 当然クラスメートは優秀な人ばかり。しかも半数は附属中学の出身で、中学卒業時には高校1年までの勉強を終わらせています。1年分の差を縮めようと、必死で勉強しました。今思い返すと、人が成長するのに「環境」がいかに大切か、よくわかります。 将来は、ものつくりに携わりたいと考えていたので、大学も、すべ一念発起し進学校へchapter 1 :てのプロダクトの基礎となる「材料」か、材料の性質を変える機能を持つ「電気」関連の学科があるところを受験しました。なかでも入学時から細かく専門が分かれ、興味ある分野により早く到達できるイメージがあったのが東工大。工学では国内で屈指ですし、社会で生かせる実践的な勉強ができそうなところにも惹かれました。 東工大では期待通り早い時期から専門分野の学びを深めることができ、大学院では無機材料を研究するため鶴見敬章教授の研究室に入りました。テーマに選んだのは、原子レベルで材料開発を行う人工超格子。真空状態にした炉を使い、自然界にない順序で原子の層を並べるなどして、電気特性を飛躍的に上げる研究です。 実験は原子の種類や並べる順番などを変えて行いますが、それには炉の細かい調節が必要。精度を上げるため、手動だった調整を全自動で行えるよう、プログラムの作成と導入を行いました。教授から学んだことは、事実の捉え方や視座の持ち方、作業を効率良く“仕組み化”する方法などたくさんあります。加えて、自分の工夫で課題を解決していく環境を与えてもらい、本当に鍛えられました。 研究では、まず過去の論文を理解するのが原則です。材料の分野で東工大の研究者の論文が充実しているのには驚かされました。ただ、飛び抜けた成果を出すには、単なる過去の延長ではない独自の発想が必要になります。大学、大学院で学ぶなか、研究も人生も、“人とは違うところ”に答えがあると強く感じるようになりました。 著名人の講演などにも多く行きましたが、憧れるのはやはり周囲に流されず、やりたいことに生き生きと取り組んでいる人。実は私も大学3年から飛び級で大学院に進学し、周囲からは「急ぎすぎでは」と言われ、論文の書き方を独学するなど苦労もしました。それでも、「やりたいことをやるのが一番」という考えは今も変わりません。就職でも、自身の研究のテーマとは違いましたが、夢のある太陽光発電にかかわりたいと考えシャープに入りました。「自分のやりたいこと」を追求飛び級で大学院へchapter 2 :実践的な学びを求め東工大へにつながります。若い人にはぜひ海外に行ってほしいですね」と宮宗さん。12Tech Tech

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